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歴史・時代小説おすすめ21選をご紹介~隠れたもう一つの真実を描く~

いつまでも根強い人気のある、歴史・時代小説のおすすめの作品21選をご紹介させていただきます。

昔の人は何を想って、毎日をどのように過ごしていたのでしょうか。

また歴史上のあの有名な人物たちは、史実にあるような人物だったのでしょうか。

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歴史・時代小説おすすめ21選をご紹介~隠れたもう一つの真実を描く~

戦国時代や幕末など、日本の歴史が大きく変わった時代には、色々な事が起き、登場人物も有名な人ばかりでなく、色々な人も関わっていたのです。

そんなさまざまな時代のお話を、作家先生独自の視点で捉えた、おすすめの作品21選をご紹介させていただきますので、お楽しみ下さい。

1、『陽炎の辻 居眠り磐音(一)決定版』佐伯 泰英

主人公である豊後関前藩の坂崎磐音は、江戸から帰藩したその日に、藩政に絡んだある企みから、心ならずも友人の2人を斬り、郷里を去り、江戸深川の長屋で浪人暮らしを始める話です。

時代は田沼意次が政権を担っていた明和年間であり、磐音は剣の腕を買われ、両替商の用心棒となるのです。

居眠りと称される剣法に敵はなく、普段のおだやかな人柄とのギャップに惹き付けられてしまいます。

ストーリー展開も、田沼施政下の貨幣改鋳に関わる陰謀に組する者、またそれに対抗する者たちの闘争が緊迫を持って描かれています。

ここがポイント

剣劇シーンだけでなく、歴史的背景や江戸の経済事情もふんだんに語られ、歴史好きには至極の作品です。

2、『本懐』上田 秀人

戦国と江戸幕末時代を生きた、6人の漢の生き様を描いた短編集です。

前書きから、日本人の責任の取り方としての「切腹」についての考察が描かれています。

切腹に至る経緯、そこに込める思いは様々であり、歴史上の色々な人の切腹(大石内蔵助、織田信長、狩野融川、堀直虎、西郷隆盛、今川義元)を取り上げ、本人たちはどのような想いで切腹したのか、また切腹に至る行動はどのような動機であったのかが分かります。

ここがポイント

現代と死生観は違うにせよ、「潔さ」という言葉では、片付けることが出来ない哀愁と無念、怒りと恨みを全編に渡り感じてしまいます。

斬新な解釈と感じつつも、一話ごとの上田氏の解説を読むと、共感してしまいます。

生き様を賭けた、執念のようなものを感じる作品です。

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3、『麦屋町昼下がり』藤沢 周平

格調高い文章で、藩の風景や決闘シーンも目に焼き付くように描かれている4編が収められた中編集です。

各作品の文中の言葉の一つひとつに、これを発した人の思惑、感情など様々なものが含まれていて、頭の中に色々なものが駆け巡ってきます。

武士の矜持やお家を守ることへの執念というか心の有様は、江戸時代の武家にとっては、命おもかける戦いに繋がるほどに、重要なものだったのです。

また、それを淡々と受け入れている男たちにも、驚愕してしまいます。

ここがポイント

武家社会の独特な環境とそれに由来する一騎打ちが描かれていて、単発時代劇ドラマを観ているような感覚で楽しめます。

藤沢文学を堪能できる珠玉の作品です。

4、『心淋し川』西條 奈加

江戸、千駄木にある、貧乏長屋が集まる心町(うらまち)における人情噺を集めた6編からなる連作短編集です。

止まったまま流れることのない、心淋し川の両脇にある数件の長屋に住む人たちの話です。

心淋し川(うらさびしがわ)という寂寥感漂うタイトルの通り、世の中という川を上手く泳げず、流されてきた人達が主人公なのです。

流したくても、流せない悲しみ、後悔、憎しみなど、いろんな心の傷を背負いながらも、住人同士、過去に何があったかも聞かず、蔑むこともないのです。

ここがポイント

日々助け合いながら暮らしている長屋の人達の切ない中にも、時折射し込む僅かな光を感じてしまう作品です。

5、『弥勒の月』あさの あつこ

弥勒シリーズの第一弾であり、小間物問屋、遠野屋の若女将が水死体で発見され、自死で片が付いたはずだったのですが、その目撃者の死、更には死者が連鎖していくことで、事件の様相を呈していく話です。

遠野屋の若女将おりんが、身を投げたとみられる事件から始まり、第一発見者や目撃者が次々に死んでいく事象が起きてしまうのです。

その繋がりな見えない中、遠野屋の主人の清之介は、登場から何かあると感じさせ、探索をする定町廻りの信次郎と岡っ引きの伊佐治らが遠野屋を中心に事件の核心に迫っていきます。

ここがポイント

闇を抱えて日常をおくる者、闇から抜け出そうとする者、また闇へ引きずりこもうとする者たちが交差していきます。

人間の持っている闇に、哀れを感じてしまう作品です。

6、『銀二貫』高田 郁

侍の子が寒天屋の旦那に銀二貫で助けられ、そこの丁稚、松吉として成長していく話です。

天満様に寄進するために必死に貯めた銀二貫を、雪が降る朝に、寒天問屋井川屋の主である和助に命を助けられたのは、武士の子の鶴之輔だったのです。

そして和助のもとで、松吉と名を改め、丁稚として、商人として不況と大火を繰り返す、大阪での生活に耐えて生きることになるのです。

ここがポイント

そしてたくさんの人たちと助け合い、支え合って、いくつもの苦難を乗り越えていき、その諦めない心が最後には身を結ぶのです。

まさに大阪商人の人情物語です。

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7、『本所おけら長屋』畠山 健二

本所亀沢町の「おけら長屋」に住む、色々な人たちの色々な話が詰まった7編からなる短編集です。

ちょっと訳ありのおけら長屋の住人たちのおこす騒動は、笑いあり、涙ありのまるで落語の世界のようであり、面白可笑しく楽しむことができます。

人情に溢れる市井の人々が、その都度主人公であり、井戸端会議や相撲大会、仇討や足抜けなど、何でもありの日常に浸ることができます。

ここがポイント

閉塞感ばかりのこの時代に、足りないものが詰まっているような気分が味わうことができます。

心温まる人情物の時代小説作品です。

8、『天翔ける』葉室 麟

江戸末期、幕府の要人の中でただ一人生き残り、明治政府の要職を務めた、幕末四賢侯の一人である福井藩の松平春嶽の話です。

幕末から明治維新にかけての局面で重要な役割を果たしながら、歴史上ではあまり評価されていないのです。

いわゆる薩長史観が、現代の日本では通説になっているからに他ならないのです。

ここがポイント

橋本左内や横井小楠、坂本龍馬といった知恵袋たちが、死んでいなければ、春嶽は新政府の表舞台に出て活躍していたと思えます。

明治維新から150年以上も経った今だからこそ、多角的な視点を持ち続けることの大切さを感じてしまう作品です。

9、『家康・江戸を建てる』門井 慶喜

秀吉に関東転封を命じられた家康が、低湿地の広がる荒野を開拓し、大都市である江戸を建築する話です。

河川の灌漑、貨幣の造幣、引水、石垣、そして天守閣等を作る過程が、中編5話で構成されています。

湿地ばかりが広がる江戸の地が、京、大坂から名実ともに日本の中心として、ゼロから築かれていく過程が見えてくるのです。

物凄い時間と人力を費やした大仕事であり、まさに土台から街を作ってしまったのです。

ここがポイント

家康の現代にも通用する大プロジェクトリーダーとしての資質と、全体を見渡せる俯瞰力、部下を率いる統率力とカリスマ性、周到な準備と段取り、決断力など非常に素晴らしく描かれています。

違った観点から、歴史を見ることができる作品です。

10、『燃えよ剣』上・下 司馬 遼太郎

幕末の動乱期に、類のない苛烈な軍事集団である「新選組」を作り上げて世を震撼させ、幕府に殉じて壮絶な生涯を生き抜いた漢、土方歳三を描いた話です。

大儀にも、出世にも、愛にも、そして思想にも振り回されることなく、ひたすら己の中の男としての道を進んでいったのです。

幕末の京の都において、尊王志士たちを震え上がらせた新選組の副長を務め、組織強化に辣腕を振るったのです。

武士道に背けば、仲間であろうとも容赦なく、暗殺や切腹をさせる土方の姿は、元農民が憧れていた武士に成り上がろうとする凄まじいまでの信念と、それに対する浪漫を感じてしまいます。

ここがポイント

幕末の動乱期に、己の美学を貫き、懸命に生きた男の姿が、魅力的に描かれた作品です。

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11、『あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続』宮部 みゆき

人の弱さや苦しさに寄り添い、心の澱みを浄め流す極上の物語が5編詰まった話です。

ここがポイント

身も凍る不幸や、忌まわしい過去や記憶、囚われている想い、逃げきれない恐怖、人の弱さと哀しさが描かれています。

三島屋の奥座敷である黒白の間で、おちかが聞き取る、変わり百物語なのです。

妖を引き寄せたり、それらと関わりを持つ人たちは、自身の心の持ち方や生き方で、関わる妖や、関わったその後が随分と異なる印象を受けてしまいます。

怖くて、不思議な物語ですが、時代小説としても十分に楽しめる作品です。

12、『熱源』川越 宗一

樺太出身のアイヌと、ロシア皇帝暗殺を謀った罪で樺太に流刑となったポーランド人の人生の交錯を描いた、壮大な物語です。

帝国主義時代末期の激動の中、彼らは文明の波に抗い、自身と仲間たちの在り方を模索していたのです。

現代に日本人として、日本で生まれ育った身としては、彼等が抱いた葛藤や希望の感覚を同様に感じることは不可能ですが、本作品を読み進めるうちに、感情移入してしまいます。

ここがポイント

遺伝的、文化的に途上である異民族を救済するという名目の元に、押し付けられた言語や、文化行動の実態が手に取るように分かります。

史実を基にしていて、先住民の対比と魂を喪った者たちが、生きる熱(熱源)を取り戻そうとする様子が描かれている感動の作品です。

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13、『漂流』吉村 昭

江戸、天明年間に無人島に漂流しながらも、不屈の精神力と工夫で、12年後に生還した土佐の船乗り長平の話です。

実話に基づいた話であり、漂流した島、鳥島には湧水もなく、樹木も草も殆んどないアホウドリの生息地だったのです。

食べ物といえば、アホウドリの肉と卵、貝、海藻、そして雨水だけだったのです。

ここがポイント

ギリギリ生きることができるだけの島での極限生活、還る望みのない絶望と死に抗う辛さには、想像を絶してしまいます。

漂流した仲間が次々に倒れる中、長平はどのようにして、正気を保っていたのでしょうか。

これ以上ない極悪の状況下でも、冷静さを失わない長平の姿に驚きと感銘を受ける作品です。

14、『幻庵』上・中・下 百田 尚樹

江戸末期の寛政期から安政年間に活躍し、天才棋士と謳われた四家元の一つである井上家の十一世、井上因碩こと後の幻庵と関わり合う、先達の名棋士や、立ちはだかる名棋士たちとの生涯の囲碁の戦いを綴った話です。

史実から膨大な諸対局場面を再現し、その攻防や心理状況、対戦前後にあったことなどを描写する形で、物語を展開させています。

クライマックスの終盤は、いよいよ終生のライバルとも言える本因坊の丈和との名人碁所就任を巡る暗躍、所謂、天保の内訌の内幕が赤裸々に語られていくのです。

ここがポイント

最強になるために、いかに努力をしてきたのかというその過程と、その努力をしてきた人にしか辿り着けない境地、または数奇な巡り合わせなど、目頭が熱くなってしまいます。

囲碁に精通している人は勿論のこと、囲碁を知らない人でも十分に楽しむことができます。

名人になるチャンスが何度も不思議なことにできた運の強さと、努力を越えた不運から始まる人生の満足に面白味を感じてしまう作品です。

15、『流人道中記』上・下 浅田 次郎

姦通の罪を犯したという旗本の青山玄蕃は、切腹を言い渡されるのですが、それを拒み、蝦夷へ流罪となる話です。

玄蕃の押送人になった19歳の見習い与力である石川乙次郎と共に、奥州街道を北へと、津軽三厩までの道中がはじまるのです。

北へ向かう旅の途次、変化する季節の移ろい、自然描写も素晴らしく、まるでその場にいるような感覚になってしまいます。

盗賊、遊女、敵討ち行脚の武士、死罪の少年、仮病の老女など、道中で出会うさまざまな苦悩を抱えた人々の人物描写も上手く楽しめます。

ここがポイント

そして二人の身の上と、事件の真相が明らかになり、師と弟子、いや父と子にも似た関係に変化していくのです。

武士という罪をおのが身で償おうとする、武士の鑑の姿が分かる作品です。

16、『しゃばけ』畠中 恵

江戸有数の廻船問屋の一人息子である、一太郎と妖怪たちの話です。

跡取り息子の若旦那、一太郎は病弱なのですが、何故か妖怪の姿を見ることができ、妖怪たちと家族同然に暮らしているのです。

ある日一太郎は、殺人事件に遭遇し、妖怪たちと事件の解決に乗り出すことになります。

すぐに寝込んでしまう程病弱な一太郎ですが、悲観するわけでも親の金に胡坐をかくわけでもなく、心持が良く勇敢なのです。

不遇な立場の兄を気遣う純粋な気持ちも、持ち合わせていて、読んでいて涼やかな気分に浸れます。

ここがポイント

彼を甘やかす手代や物の怪たちも微笑ましく、少しゆっくりペースな幻想的な作品です。

17、『風の市兵衛』辻堂 魁

さすらいの渡り用心である唐木市兵衛が、相対死した旗本の家に雇われ、旗本の日記や出納控を丹念に調べて、旗本の生前の行状を探り出そうとする話です。

ここがポイント

「算盤侍」の異名を取る唐木市兵衛が主人公であり、他家に雇われ算盤片手に経理全般を担当する、渡り用心という一風変わった侍なのです。

今作は、心中事件が絡み、ミステリー要素も強めで、読ませるストーリー展開になっていて、市兵衛の生い立ちも明かされます。

設定も面白く、最後の戦いの場面も迫力があり、今後の展開が楽しみな作品です。

18、『宮本武蔵』吉川 英治

ここがポイント

野獣のようであった武蔵が、沢庵和尚の説教により、万物を師とした己を磨く人物へと変わっていく話です。

17歳の新免武蔵が功名と禄拾いに挑んだ、関ヶ原の合戦から物語は始まります。

武蔵は今までの粗暴から、みんなの嫌われ者であり、故郷である作州宮本村で沢庵和尚に捉えられ、死を自覚して無知からの無謀さに気付くのです。

そして何度も訪れる試練の中で葛藤し、様々な答えを導き出していくのです。

端役に至るまで、各キャラクターの人生観が、垣間見える表現に痺れてしまう作品です。

19、『だいこん』山本 一力

江戸、浅草で一膳飯屋の「だいこん」を切り盛りする、つばきとその家族の話です。

数々の困難に立ち向かい、知恵と度胸でそれを乗り越えていく、つばきの奮闘する姿が清々しく描かれています。

父が博打で貧しい暮らしをしたがゆえに、母のきびきび働く姿を見て、自分もそうなりたいと幼心に思ったことを真直ぐに実現していくのです。

つばきの器量とその才能、そして生まれ持った強運で、周りの人たちを味方にしてしまうのは流石です。

しかし、こんなすばらしい、つばきであっても、ふっとみせる切なさ、寂しさはやはり女の心なのでしょうか。

ここがポイント

読んで元気が出て、働く意欲が沸いてくる作品です。

20、『じんかん』今村 翔吾

裏切り者のイメージが強い松永久秀を、世間のイメージとは違う切り口で描いた話です。

松永謀反の企てを知らされた織田信長が、かって久秀から直接聞いたという彼の半生を小姓に語るという設定になっています。

悪人というイメージの強い松永久秀は、幼い頃に父母を理不尽に亡くし、「神も仏もいない」と悟り、弟と二人で壮絶な子供時代を過ごしていたのです。

その後三好元長に引き立てられ、その知略で大名にまでのし上がっていくのです。

ここがポイント

民を思い、主君を思い、正義を貫いた武将が何故、希代の悪人と呼ばれてしまったのでしょうか。

実際の久秀が何を夢見て、戦国の世を駆け抜けたかは分かりませんが、人間を信じる作者の思いが伝わってくる作品です。

21、『樅ノ木は残った』上・中・下 山本 周五郎

伊達騒動を題材にした、読み応えのある悪人という通説を覆す、原田甲斐の死に様を描いた話です。

騒動の発端が、幕府側の諸藩改易の意向にあると見抜いた家臣、原田甲斐が藩の安泰の為に、その生涯を捧げたのです。

ここがポイント

声高に正義を語らず、ただ淡々と自分の為すべきことをその柔和な面差しに、想像も出来ない強い意志で、やり抜く甲斐の姿に感動してしまいます。

甲斐の魂は幾多の人々に蔑まれようとも、僅かでの信頼に足る人たちのこころにずっと生き続けていくのです。

果たして本当の意味で残ったのは仙台藩なのか、武士の矜持を持った甲斐の思いだったのでしょうか。

原田甲斐の生き様に、心が震えてしまう作品です。

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まとめ

歴史・時代小説のおすすめ21選のご紹介は、お楽しみ頂けましたでしょうか。

各作家先生の視点で捉えた、物語はどれも、素晴らしくお楽しみ頂けたかと思います。

まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみて下さい。

きっと今までと違った、過去の世界を見ることができると思います。

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