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吉田恭教おすすめ作品10選をご紹介~本格ミステリの神髄を描く~

漁師と作家の二足の草鞋を履く、吉田恭教氏のおすすめの作品10選をご紹介させていただきます。

高等学校卒業後、30歳まで、東京で写真製版業の仕事に就いていましたが、病気を患い、島根県で漁師になることを決意します。

2010年に「変若水(をちみづ)」という作品が第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞の優秀作に選ばれます。

そしてその翌年、同作で作家デビューを果します。

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吉田恭教おすすめ作品10選をご紹介~本格ミステリの神髄を描く~

ミステリー作家になろうと思った切っ掛けは、漁をしている日本海は時化が多くて、海に出られないことが多くあるので、余った時間で小説を書いてみようと思ったそうです。

また、以前から島田荘司氏が好きだったこともあって、ミステリー小説を選んだとのことです。

小説を書く時の心構えとして、きちんと収束させるということを念頭に置いて、執筆しているそうです。

そんな吉田恭教氏のおすすめの作品10選をご紹介させていただきますので、お楽しみ下さい。

1、『変若水(をちみづ)』

厚労省の向井俊介シリーズの第一弾であり、不信な死を遂げた幼なじみを巡る陰謀に「今どきの若者」として設定された厚労省職員の向井が挑む話です。

向井の幼なじみで女医の玲子が通勤途中で倒れ急死し、その3日後に玲子の親友である女医も突然死してしまうのです。

調べるうちにたどり着いたのは、島根県の山村、変若水村だったのです。

村の有力者である岩蔵一族が、ひた隠しにしていた、おどろおどろしい真実を向井が炙り出していきます。

向井が幼なじみの仇討と、厚生省を揺るがす感染症対処の為に、似合わない勤労精神を発揮していくのです。

ここがポイント

リアルな描写に引き込まれてしまい、横溝正史氏の作品を彷彿させるかのようです。

2、『ネメシスの契約』

厚労省の向井俊介シリーズの第二弾であり、医療事故を疑われた病院での元最高裁判事の息子の死から、連続殺人事件が浮かび上がってくる話です。

そして人権弁護士の息子の誘拐殺人と、過去に起きた首切り殺人など、複雑に事件が絡み合ってくるのです。

厚労省の向井が追うものと、新聞記者の周防が追うもの、そして警察が追うもの、それら全てが交錯した時に真実が見えてくるのです。

ネメシス(義憤の女神)が一つの事件を発端に、絡まっていた糸をほぐしていくのです。

ここがポイント

展開が早いのに、忠実に描かれる文章が、冷酷に物語を進めていき、ミステリーの深みを味わうことができます。

まさに本格ミステリーの醍醐味を感じることができる作品です。

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3、『堕天使の秤(はかり)』

厚労省の向井俊介シリーズの第三弾であり、交通死亡事故から臓器売買、臓器移植問題へ発展する話です。

事故に遭った偽装外交官ナンバーの車には、何故か医師2人と麻酔薬で眠らされた男女が乗っていたのです。

果たして医師がその男女を拉致したのか、何のために、そして全く関係のなさそうな年金の不正受給問題とも絡み合い、事態は意外な方向へと向かっていくのです。

やがてふたつの事件は違法臓器移植問題へと繋がっていき、悪いことと理解しながらも、そこに縋るしかない患者たちの想いと、自らの正義を貫こうとする刑事、南雲と向井の姿があったのです。

ここがポイント

人の命を人が秤にかけることが、正しいとは思いませんが、それで救われる者もいるのです。

真の正義とは何かを問う、社会派ミステリー作品です。

4、『可視(み)える』

探偵、槇野・女刑事、東條シリーズの第一弾であり、画商からの依頼を受けて、悍ましい幽霊画の作者を探す探偵の槇野、そしてそれとリンクするように猟奇殺人事件が起こり、繋がっていく話です。

訳あって警察を辞めて今は探偵である槇野が依頼されたのは、幽霊画の作者を探すこと。

そして鉄仮面と陰で呼ばれる女刑事の東條が追うのは、連続猟奇殺人事件。

ここがポイント

不気味で凄惨な場面も多く、強烈ですが、並行して捜査が進んでいく中で、両事象がどのように絡んでくるのかが興味津々になります。

登場人物も多く、捜査場所が点在しているため、整理するのが大変ですが、この事件の複雑極まるトリックには恐れ入ってしまいます。

恐怖やグロさが際立ちますが、しっかりしたミステリー作品です。

5、『亡者は囁く』

探偵、槇野・女刑事、東條シリーズの第二弾であり、25年前に宿で相部屋となった人を探して欲しいという、盲目のバイオリニストからの依頼が殺人事件に繋がっていく話です。

ある焼死事件を切っ掛けに繋がった25年前と現在、その意外な接点とは一体何だったのでしょうか。

探偵、槇野と女刑事、東條の連携プレイ、薄ら寒い怖気が余韻として残るオカルトテイスト、そして殺人に使われるトリックの奇抜さが大きな魅力となっています。

ここがポイント

探偵と刑事の役割を分けることで、情報をいろいろな方向からつなげて、真相を浮かび上がらせる謎解きの過程と、プロローグが効果的に生かされています。

独創的な殺害トリックが、味わえる作品です。

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6、『背律』

厚労省の向井俊介シリーズの第四弾であり、今回のテーマは尊厳死です。

今回は向井俊介が探偵役となり、事件に挑んでいきます。

本作で向井は医療事故調査支援センターに所属し、医療事故調査の傍ら、警察とは別の形で殺人事件の真相に迫っていきます。

冒頭で末期のALS(筋委縮性側索硬化症)患者の姿が、印象深く描かれていますが、この光景を読者に強く焼き付けることが、後に重要になってくるのです。

ここがポイント

密室殺人のトリックが明かされた時に、被害者の臨終の姿が、嫌でも冒頭のシーンと重なってしまうように仕向けられているのです。

警察、医療事故調査支援センター各々の調査が、描かれながらもしっかりとした視点で整理されています。

誰が犯人なのか、最後まで楽しめる作品です。

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7、『鬼を纏う魔女』

探偵、槇野・女刑事、東條シリーズの第三弾であり、通り魔事件の被害者の身元を探っているうちに悍ましい事件へと繋がっていく話です。

通り魔事件に巻き込まれた被害者の内、ただ一人生き残った若く美しい女性、身元不明なその女性の乳房には、般若の刺青があり、それを手掛かりに身元を調べていきます。

そしてその被害者が何者かを探るうちに、富士の樹海を通して出てくる身の毛もよだつ事件と新興宗教の存在にぶち当たってしまいます。

ここがポイント

新興宗教の存在が明らかになるにつれ、教祖の不老の実態、臓器売買、カニバリズムまで展開していきます。

事件の真相は想像以上の陰惨さを呈していきます。

今回は東條刑事が主役であり、その男前ぶりが際立っている作品です。

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8、『化身の哭く森』

探偵、槇野・女刑事、東條シリーズの第四弾であり、「入らずの山」と呼ばれる地に足を踏み入れた大学生たちが次々に不審死を遂げる話です。

舞台は広島県の山間の村、七年前に消息不明となった祖父の痕跡を求め、山へ足を踏み入れた大学生たちの相次ぐ不信死が発生します。

驚きのトリックを駆使したミステリー部分と、過去の陰惨な出来事に由来する祟りや、理屈では説明のつかない現象に蝶を用いたオカルト部分との匙加減が、今作も絶妙に描かれています。

加えて遠い昔に現実にあったとされる悲しい因習に、さもありなんな動機も真相の究明に一役買っている気がします。

ここがポイント

オカルト要素とミステリー要素がうまく融合した作品です。

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9、『亡霊の柩』

探偵、槇野・女刑事、東條シリーズの第五弾であり、探偵、槇野が、児童養護施設の園長から卒園者探しの依頼を受ける話です。

簡単な人探しだと思っていた槇野でしたが、対象者は既に死亡していて、尚且つその姿形は聞いていたものとは、似ても似つかぬものであったのです。

背乗り(工作員や犯罪者などによる戸籍乗っ取り)を疑った槇野は、警視庁の女性刑事、東條に情報を提供し、その結果、過去2件の未解決事件が絡むことになるのです。

ここがポイント

今作はオカルト要素が全くない分、予想外のトリックでミステリーが堪能できます。

10、『警視庁特殺 使徒の刻印』

規律違反を犯しつつも、単独で殺人事件を捜査する警視庁の刑事、佐倉と元刑事で犯罪ジャーナリストの有働が、難事件に挑む話です。

手首を鎖で繋がれた焼死体が発見され、連続殺人事件へと発展していきます。

10年前、佐倉の妹が失踪した事件との繋がりが見つかったため、佐倉は捜査から外されてしまいます。

しかし元同僚で犯罪ジャーナリストの有働と共に単独捜査を続けていき、身勝手な犯人を追い詰めていくのです。

ここがポイント

警察小説と本格ミステリーの良いとこ取りの作品です。

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まとめ

吉田恭教氏のおすすめ作品のご紹介は、お楽しみ頂けましたましたでしょうか。

まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に本格ミステリーを味わってください。

読書の楽しみが広がりますよ。

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