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上田秀人おすすめ作品8選をご紹介~やはり歴史は繰り返す~

勢いのある物語を描く、上田秀人氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきます。

歯科大学卒業後、歯科医院を開業するのですが、一念発起し、1994年に故、山村正夫氏主宰の小説講座に入門します。

3年後に「身代わり吉右衛門」という作品が、第二十回小説クラブ新人賞佳作に入選し、作家デビューを果します。

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上田秀人おすすめ作品8選をご紹介~やはり歴史は繰り返す~

上田氏は小説家であると同時に、歯科医でもあるので、執筆を開院の前におこなったり、診察の合間にも書いているそうです。

実際に患者さんに麻酔を打って、効いてくる間の短い時間でも、2行くらいは書いていて、そうしないと締め切りに間に合わないそうです。

上田氏の作品のコンセプトは自分の作品を駅で買って頂いて、到着までの時間をその作品で楽しんでもらうことなのだそうです。

また、死ぬまで作家でいることの矜持を持ち続けていきたいとのことです。

そんな上田秀人氏のおすすめの作品8選をご紹介いたしますので、どうぞお楽しみください。

1、密封<奥右筆秘帳>

奥右筆秘帳シリーズの第一弾であり、11代将軍の徳川家斉の頃、奥右筆組頭で旗本である立花併右衛門が、12年前の田沼意知刀傷事件に関わる文書を目にした事から、権力闘争に巻き込まれていく話です。

ここがポイント

10代将軍徳川家治の世嗣である家基の変死、伊賀や甲賀、お庭番といった忍者衆、御三卿の暗躍等、政治的側面も描かれています。

併右衛門の隣人である、旗本の用心棒の衛悟と娘瑞紀の行末と、歴史や政治闘争、ミステリー、恋愛など盛りだくさんになっています。

時代小説好きな方には是非読んでもらいたい作品です。

2、国禁<奥右筆秘帳>

奥右筆秘帳シリーズの第二弾であり、立花併右衛門が、天明の飢饉に苦しんでいる津軽藩からの石高上げの願いに、ロシアとの密貿易を疑う話です。

国の決まりである鎖国を破り、利権を握らんとしようとしているのは、果たして誰なのか。

ここがポイント

幕政の闇を突き破ろうとする、併右衛門を狙うものは数知れず、愛娘の瑞紀が伊賀ものに攫われて、護衛役の柊衛悟と救出に向かっていきます。

敵と向かい合うたびに、強くなっていく衛悟であり、冥府との対決も面白い作品です。

3、侵蝕<奥右筆秘帳>

奥右筆秘帳シリーズの第三弾であり、今回は大奥が舞台となり、将軍、徳川家斉の暗殺を画する一味と奥右筆の命を狙う薩摩藩の話です。

一橋治済が我が子である、将軍、家斉の命を狙うという暴挙にでます。

暴挙と言っても、これまでいろいろと裏で画作していた治済だったので、家斉も感づくのですが、我が子を殺めてまでも将軍になりたかったのでしょうか。

ここがポイント

権力の魅力とは恐ろしいものであり、名誉や自己顕示欲、組織の中で上に立ちたい人間たちの心の中が見えるようです。

そんな人間にいいように振り回される人間はたまったものではありません。

衛悟対薩摩示現流、大奥での暗殺場面が面白く描かれている作品です。

4、継承<奥右筆秘帳>

奥右筆秘帳シリーズの第四弾であり、家康の書き付けが新たに見つかり、その真偽を確かめるために、駿府へ向かうことになった立花併右衛門。

道中狙われることが分っていても、衛悟が一緒に行くことができず、併右衛門の方も衛悟に瑞紀の護衛を頼んで旅にでます。

従来の敵に加え、新たな敵の尾張藩付家老の放った木曽衆も加わり、果たして無事に江戸に帰りつけるのでしょうか。

しかし、心配した衛悟がこっそりとついて行き、併右衛門の護衛を陰ながら行うのです。

ここがポイント

殺陣シーンの見事さに、思わず感極まってしまう作品です。

5、前夜<奥右筆外伝>

ここがポイント

奥右筆秘帳シリーズの外伝であり、併右衛門、冥府防人、一橋治済、柊衛悟の四人それぞれの前夜の話です。

奥右筆組頭に出世し、幕政の闇に触れることとなる立花併右衛門も病弱な妻と幼い瑞紀を抱える無益の小普請だったのです。

また併右衛門の盾となる隣家の柊衛悟は、剣の道も己の人生も壁にぶち当たり、もがいていたのです。

衛悟の仇敵である冥府防人、そして冥府防人を使役した権の亡者の一橋治済らのそれぞれの前夜が明らかになるのです。

もう一度シリーズを読み返したくなる作品です。

6、日雇い浪人生活録(一)金の価値

江戸時代の米と貨幣の価値を題材にしている話です。

親の代から浪人暮らしの主人公の諫山左馬介は、目の前の仕事は誠実にこなす人柄なのですが、剣の腕の方はめっぽう弱く、厄介な事には腰が引けてしまうという人物なのです。

ここがポイント

日雇い仕事で糊口を凌ぐそんな左馬介が語り手であり、江戸時代の武士や浪人、商人、職人たちなど市井の人々の日々の暮らしが描かれています。

そんな時世の折、未だお側御用取次であった田沼意次の経済政策が登場してくるのです。

全国的規模のお上の経済問題、庶民の日常生活の問題が浮き彫りになってきます。

江戸の経済、貨幣、武士と商人の関係も面白い作品です。

7、日雇い浪人生活録(二)金の諍い

田沼意次の政策に手を貸す両替商の分銅屋に、札差の加賀屋が利権を渡すまじと根回しを始める話です。

傘下に入るのを拒んだ、分銅屋に加賀屋と幕府の手が迫り、分銅屋に雇われた諌山左馬介がそれらに立ち向かっていくのです。

ここがポイント

米経済から貨幣経済への移行を対立軸にした、勢力の戦いが本格的に始まっていくのです。

果たしてさほど剣術の腕もない、親の代から浪人の諌山左馬介は、一子相伝の鉄扇術だけで、生き残っていけるのだろうか。

徐々に金に縛られ、経済が時代の主役になろうとしていることが分かる作品です。

8、本意に非ず

激動の歴史の流れの中で、理想や志と裏腹な決意をしなければならなかった男たちの無念と後悔を描いた5編からなる短編集です。

明智光秀、松永久秀、伊達政宗、長谷川平蔵、勝海舟のそれぞれの人物の本意に非ずという仮説を上田氏が説いています。

明智光秀の項は本能寺焼き討ちの後の状況が描かれ、松永久秀の項は三好長慶への忠誠であり、伊達政宗の項は己の人生の振り返りであり、長谷川平蔵の項は思惑と実際の相違が描かれ、勝海舟の項は思い出語りが主となっています。

ここがポイント

歴史に名を刻んだ時代の男たちの心意気が味わえる作品です。

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まとめ

上田秀人氏の作品はお楽しみいただけましたでしょうか。

違った側面から時代に切り込んだ、勢いのある筆致は感じていただけと思います。

まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみて下さい。

読書の楽しみが広がりますよ。

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