心が癒される、似鳥鶏氏のおすすめ作品8選をご紹介させていただきます。
大学の教育学部を卒業後に大学院に進み、教員免許を持った法曹も必要だろうと思い、司法試験の勉強をしていたようですが、2006年に「理由あって冬に出る」という作品が第16回鮎川哲也賞の佳作に入選し、翌2007年に作家デビューを果たします。
作家になってからは、読書の方法も意識的に変えて、なるべく読んだことのない人の作品や、新しい人の作品を単行本で読むようにしているそうです。
似鳥鶏おすすめ作品8選をご紹介~一言で伝わるものを描く~
作家としての勉強のひとつは、文学全体の教養としての古典を読むことであり、もう一つはミステリーの押さえておかなければいけないところを読むことだそうです。
また、本屋さんで面白い本を見かけると、読んでいるそうで、特にジャンルにはこだわりがないようです。
自分の作品を執筆する上でも、一見説明がつかないようなことに説明をつけることが、得意であり、こじつけで説明する能力には長けているそうです。
そんな似鳥鶏氏のおすすめの作品8選をご紹介いたしますので、お楽しみください。
1、『理由(わけ)あって冬にでる』
市立高校シリーズの第一弾であり、高校の芸術棟に出るという幽霊の謎を解き明かすために、活躍する高校生たちの話です。
噂に怯えた、吹奏楽部員が、部活に来なくなるなどの障害が生じた為、幽霊など出ないと安心させるための検証で、幽霊を目撃してしまう事態となってしまうのです。
噂の謎を解くのは、美術部員の葉山君であり、個性の強い吹奏楽部のメンバーと協力して、夜の学校の調査を開始します。
ここがポイント
学園ミステリーにも関わらず、謎解きの部分は、どんでん返しの連続で、何度も驚かされてしまいます。
鮮やかな推理トリックに、引き込まれてしまう作品です。
2、『さよならの次にくる<卒業式編>』
市立高校シリーズの第二弾であり、前作「理由あって冬にでる」の続編でもある4編からなる連作短編集です。
葉山君の初恋の話から始まり、終盤では伊神さんの更なる謎めいた部分に迫っていきます。
葉山君の初恋に関するエピソードをはじめとする4つの謎が展開されていて、コミカルに描きながらも、それぞれの結末には、ほろ苦さが感じられます。
いきなり卒業式で伊神さんがいなくなってしまうと、誰が事件を解決していくのだろうという疑問が残ります。
ここがポイント
伏線を張りつつ、気になる場面で終わっているので、続きの新学期編に期待が膨らむ作品です。
3、『さよならの次にくる<新学期編>』
市立高校シリーズの第三弾であり、前作、<卒業式編>に続く5編からなる連作短編集です。
伊神さんが卒業し、葉山君たちは進級、そして新入生が加わって新生活が始まります。
前編から散りばめられてきた、断章や伏線もしっかりと回収されていて、まとめられています。
ここがポイント
そして、今回は葉山君と後輩を巡るストーカーの謎から連なる話として、展開していきます。
伊神さんの出生の謎にたどり着くころには、葉山君のなかなかの探偵ぶりも伺うことができます。
学園ミステリーを満喫できる作品です。
4、『まもなく電車が出現します』
市立高校シリーズの第四弾であり、日常の謎の5編を収録した短編集です。
殺人事件のような大きな事件はありませんが、ちょっと捻った謎がいろいろと出てきます。
密室に鉄道模型が突如出現した表題作から、調理実習・狙って落とされた植木鉢・プラモデルのお値段等、日常の中でも葉山君は困難に巻き込まれてしまい、大変そうな場面が数多く出てきます。
そして最後の話の「今日から彼氏」はなんと、葉山君に彼女が?柳瀬さんじゃないのかと困惑しながらも、初交際に右往左往する様子に思わず応援したくなってしまいます。
ここがポイント
ミステリーですが、心が癒される作品です。
5、『午後からはワニ日和』
ここがポイント
楓ヶ丘動物園シリーズの第一弾であり、動物園の裏側も描きつつ、ミステリー要素も絡めた話です。
大型爬虫類のイリエワニが、何者かに盗まれたことから、物語は始まり、獰猛なワニをどうやって盗んだのか、何故盗む必要があったのか等、謎が残ります。
個性豊かな登場人物によって、和やかに進むストーリーによって、グイグイと引っ張られ、トリックもしっかりしていて、犯人も予想外であり、驚きを隠せません。
ミステリーとしても勿論楽しめますが、動物園の役割についても、言及されているので、とても勉強になります。
事件解決までのやり取りが、十分に楽しめる作品です。
6、『戦力外捜査官 姫デカ・海月千波』
戦力外捜査官シリーズの第一弾であり、警視庁捜査一課に着任後、ドジばかりで戦力外扱いとなった美少女ぽい海月千波警部とそのお守り役を命じられた、設楽刑事が連続放火事件を追う話です。
日常生活に支障がありそうなドジとは裏腹に、鋭い推理を見せる千波と、なんだかんだと世話を焼いてしまう設楽刑事が段々と良いコンビになっていく様が描かれています。
そして二人は連続放火事件を追う中、冤罪と噂される、7年前の少女殺人事件に辿りついてしまうのです。
ここがポイント
ポップな表紙や軽快な文体は、ライトノベルを思わせますが、なかなかどうして、しっかりとした骨組みのある話なのです。
ドラマにもなっている読み応えのある作品です。
7、『この部屋で君と』
気鋭の作家8名の様々なシチュエーションを詰め込んだ、それぞれの個性が感じられるアンソロジーです。
様々な組み合わせで、様々なシチュエーションで、同じ部屋に住むことになった人々が克明に描かれています。
話に入る前に立地、間取り図、家賃などが出ているので、それと照らし合わせると、かなり面白く、楽しめます。
ここがポイント
その部屋で生活している住人たちの思考や独り言、生活模様を覗き見しているような感覚になってしまいます。
いろいろな作家先生の個性が味わえる作品です。
8、『叙述トリック短編集』
読者の思い込みを利用して、ミスリードを誘う叙述トリックを用いた6編からなるミステリー短編集です。
どの話も日常の謎に焦点があてられて物語が進んでいくので、うっかりその謎に気を取られているうちに、騙し討ちに遭ってしまいます。
読者への挑戦状もあって、最初にヒントも用意されているにも関わらず、なかなか見破ることができません。
ここがポイント
どの作品もユニークであり、至る所に張り巡らされた細かな伏線と、仕掛けが堪能できる作品です。
まとめ
似鳥鶏氏の作品のご紹介は、お楽しみいただけましたでしょうか。
まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。
読書の楽しみが広がりますよ。