両極端の人間を描く、新堂冬樹氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきます。
高校中退後、10代の頃から闇金融の世界で働いていたことを公表し、現在も金融コンサルタントを兼業しています。
1998年に「血塗られた神話」という作品で、第7回メフィスト賞を受賞し作家デビューを果します。
金、女、権力といった欲望をとりまく裏社会を描いたノワール小説の「黒新堂」と「白新堂」と呼ばれる静謐で切なさの強い純愛小説を書き分けるなど、世界観の深さを持っています。
新堂冬樹おすすめ作品8選をご紹介~固定観念にとらわれない描写~
新堂氏の活躍は実に多彩で、実用書「黒新堂冬樹のブラック営業術」を手掛けたり、芸能プロである「新堂プロ」を率いたりして、ドラマ、映画に主演の所属女優が急成長を果しています。
また無類の昆虫好きであり、DVDソフトの「世界最強虫王決定戦」の監修も務めています。
そんな新堂冬樹氏のおすすめの作品8選をご紹介いたしますので、どうぞ楽しんでください。
《ろくでなし 上・下》
凄腕の債権回収屋の黒木が、自身にふりかかった災厄の元凶が、誰なのかを追跡していく話です。
かって凄腕でならした取り立て屋の黒木の目の前で、最愛の女性が強姦され、そして女性は自殺してしまいます。
二年後、レイプ犯の写真を偶然目にした黒木は復讐に燃えていきます。
また、もう一人の主人公のスピード中毒になった、かつての黒木の部下、早見の幻覚や幻聴の中毒症状の描写が強烈です。
ここがポイント
登場人物はタイトルどおり、ろくでなしばかりですが、二転三転する終盤の展開があり、ある意味爽快な作品です。
《カリスマ 上・中・下》
幼少時に母親が新興宗教に洗脳され、壮絶な体験を余儀なくされた少年が、復讐の念に燃えて生きて行く話です。
ここがポイント
新興宗教にハマる人を非常にリアルな感覚で描いていて、こんなに簡単に思い込んでしまうものなのかと疑ってしまいます。
妻の病を治したい、子供を一流校に入学させたい、など、人の弱みにつけこむ勧誘方法で、新興宗教「神の郷」は設立から10年余りで、二千人の教徒を有する宗教法人になっていったのです。
戦慄の作品であり、黒社会を垣間見てみたい方におすすめです。
《忘れ雪》
幼い日の出会い、大人になってからの再会、そしてすれ違いなど、男女二人の純愛の話です。
傷ついた少女が忘れ雪を見ながら願った奇跡、そして7年後の再会はできなかったけど、8年後に神様がくれた偶然という奇跡。
しかしそこから、純愛が悲劇に変貌していき、思いもよらない展開になっていくのです。
ここがポイント
銃愛小説の顔をしたミステリー作品です。
《僕の行く道》
小学3年生の沖田大志が写真でしか見たことのない母を訪ねて、愛猫ミュウと旅をする話です。
大志の健気さ、純粋さは本当に涙腺を刺激され、大志が旅の途中で苦境に陥ると、手を差し伸べてくれる人たちがいるのです。
そして、ようやく目的地の小豆島にたどり着くのですが、真実はあまりにも残酷で、大志が直面するには過酷すぎる状況だったのです。
ここがポイント
大志の純粋無垢な気持ちが切なさを倍増させる作品です。
《黒い太陽 上・下》
キャバクラという夜の世界で、伸し上がっていこうとする男の苦悩と葛藤を描いた話です。
昏睡状態の父親の治療費を稼ぐために、キャバクラの黒服になった主人公は異例の速度で昇格していきます。
そして自らがキャバクラ店のオーナーとなり、風俗王と呼ばれる男と壮絶な戦いを繰り広げていきます。
経営存続の厳しさや人間の汚さが見事にまで臨場感タップリに描かれています。
ここがポイント
意地とプライドのぶつかり合いが楽しめる作品です。
《殺し合う家族》
実際にあった事件「北九州・連続監禁殺人事件」を元に執筆されたフィクションです。
日本史上最悪とも言われ、あまりの残虐さに報道規制がしかれた本物の事件を題材にしていて、性的虐待、監禁、洗脳、殺害、死体解体などが克明に描かれています。
首謀者は自らの手を一切汚すことなく、他人を意のままにコントロールして、一人の女性を破壊し、肉親を巻き込み家族同士で殺し合いをさせたのです。
ここがポイント
マインドコントロールの絶大な怖さが伝わってくる作品です。
《瞳の犬》
幼い頃に虐待され、現在、介助犬の訓練士となった主人公が、虐待され捨てられていた犬に出合う話です。
怪我をした犬と、過去のトラウマを抱える主人公の心の再生物語のような感じで、ストーリーは展開していきます。
テレサと名付けられたその犬は、二つの軌跡を起こすのですが、これでもかと襲い掛かる悲劇にも遭遇してしまいます。
ここがポイント
動物は裏切らないということを痛切に感じる作品です。
《夜姫》
妹の復讐のために、主人公が夜の世界(キャバクラ)で伸し上がっていく話です。
妹を死に追いやられた復讐の為に、姉が夜の世界に入り、ナンバー1を目指していきます。
いくつもの嘘をつき、高価な酒を開けさせることに、どんなことでも演じてしまうキャバ嬢の姿が克明に描かれています。
ここがポイント
虚構の世界で本物の愛を夢見る客が滑稽に見えてしまう作品です。
まとめ
新堂冬樹氏の作品はいかがでしたでしょうか。
黒と白の世界で描き分けられた作品を堪能していただけましたでしょうか。
まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。