文中に引きこまれてしまいそうになる、秋吉理香子氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきます。
「暗黒女子」という作品を皮切りに、数々のイヤミス作品を生み出して、今やイヤミス界の女王の地位を確立しつつあります。
小さな頃から読書が大好きで、小説家になりたい夢は持っていたそうですが、ミステリーに接することになったのは、随分後のようです。
秋吉理香子おすすめの8選をご紹介~感情が爆発する一瞬を描く~
小学校の頃にカフカや太宰の悲惨で、救いがない作品を読んで衝撃を受けたのをきっかけに、小説家を目指したそうで、純文学を礎にして、少し遠回りしたけど今の作風にたどり着いたようです。
難しい設定で自分にしか書けないミステリーを、これからも書き続けていくようにしているとのことです。
そんな秋吉理香子氏のおすすめの作品を、刊行順に8選ご紹介いたしますのでどうぞお楽しみください。
1、《暗黒女子》
名門女子高の中で、最も美しく、カリスマ性もあった、女生徒の死に絡んだ話です。
死の原因を解明するために、親しかったはずの文学サークルのメンバーが、一週間後に集められたのですが、メンバーによる事件の証言がバラバラで、どれが本当なのか分からないのです。
ここがポイント
女子高というミステリアスな場所で、さらには謎に包まれた文学サークル内の事件という設定でありながらも、大変分かりやすく且つ、詳しく人物が描かれているので、ストーリー展開も楽しむことができます。
最後には背筋が冷たくなるような恐怖を感じてしまう、まさしくイヤミス作品です。
2、《放課後に死者は戻る》
何者かに崖から突き落とされ、病室で目が覚めると、鉄道オタクだった自分が、イケメンの姿に変わっていた話です。
自分を崖から突き落として殺した犯人を見つけるために、自分が元いたクラスに、転校生として潜入していきます。
ここがポイント
心と身体の入れ替わりという珍しくはない設定ですが、展開が自分を殺した犯人を捜すミステリーな部分と、自分を取り巻く環境とか淡い恋心がうまくマッチしていて、かなり楽しませてくれます。
爽やかな、青春ミステリー作品です。
3、《聖母》
東京のとある街で、死後に性的暴行が加えられていた幼稚園児の遺体が、見つかったことから話は始まります。
犯人は一体誰で、何の目的があったのでしょうか、幼児の母親目線、刑事の目線、そして犯人の目線が、それぞれ順繰りに描かれています。
ここがポイント
分かりやすい叙述トリックでありながらも、驚きの連続でストーリーは展開していきます。
リーダビリティと、中毒性がある作品です。
4、《自殺予定日》
美しく逞しい継母が、父親を殺害したことを告発して、自殺しようとする女子高生の話です。
そんな中、出会った幽霊の男性と、殺害の証拠を見つけるために奮闘していきます。
青春・恋愛ミステリー小説のような展開で、六曜や風水を活用したり、また美味しそうなオーガニック料理も出てきます。
ここがポイント
最後は何故か、爽やかな読後感に浸れる作品です。
5、《絶対正義》
5年前に殺したはずの女から4人の女に、「思い出の会」への招待状が届いたことから始まる話です。
殺されたはずの女、範子は正義感に溢れ法律を遵守する正しい人間であったのです。
ここがポイント
しかしその正義感が徐々に、周りの人間を追い詰めてしまったのです。
ミステリーとしてはロジック的な要素が少なく思いますが、意外なラストに惹きつけられてしまいます。
息が詰まるドキドキ感が、味わえる作品です。
6、《ジゼル》
バレエ「ジゼル」とダブらせながらそれを演じるバレエ団に起こる悲劇を、ミステリーとして描いた話です。
バレエの世界の煌びやかな世界とは違った、ドロドロとした人間模様が描かれています。
ここがポイント
嫉妬や焦燥が渦巻くレッスン場の描写が、臨場感に溢れていて、バレエに詳しくない方でも物語の中へ、入りこんでいくことができます。
本物のバレエの舞台を見てみたくなる作品です。
7、《婚活中毒》
4編からなる婚活をテーマにした短編集です。
結婚相談所、お見合いテレビ番組、親同士の婚活など多様な婚活のあり方の中で、人間模様が描かれています。
どの話も結構、うすら怖いことを描いているのですが、語り調がライトなためサラッと読めてしまいます。
ここがポイント
実際に人は見た目ではないと思いながらも、見た目でいろいろな偏見を抱いてしまうものなのですね。
8、《ガラスの殺意》
過去の通り魔事件で両親を殺害された女性が、その犯人を刺殺したと名乗り出るところから始まる話です。
しかしその女性は、交通事故の後遺症で、脳に記憶障害があったのです。
ここがポイント
高次脳機能障害という病気であるはずなのに、事件のことを全く覚えていない女性が本当に復讐したのだろうか。
切ないラストに、引き込まれてしまう作品です。
まとめ
感情が爆発する一瞬を描いた、秋吉理香子氏の作品のご紹介は、お楽しみ頂けましたでしょうか。
まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。
新しいイヤミス作品をあなたのお気に入りに加えていただければ幸いです。