当サイトが独自に厳選した、桐野夏生氏の作品10選をご紹介させていただきます。
女性ハードボイルド作品「顔に降りかかる雨」で本格デビューをはたし、第39回江戸川乱歩賞を受賞します。
桐野氏はその後、着実にミステリー路線を歩み、人気を博していくこととなります。
1998年に発表した「OUT」が小説家としてのブレイクスルー作品となり、その後の輝かしい足跡を刻んでいくこととなります。
桐野夏生おすすめ作品10選をご紹介~人間の心の闇を描く~
桐野氏の作品の魅力は何と言っても、人間の持っている心の闇を描く、鋭い洞察力だと思います。
それに現実では味わえないゾッとするような、スリル感も味わえます。
作品を読み始めるとその世界に引きづりこまれてしまい、時が経つのも忘れてしまいそうになります。
そんな桐野氏の作品を10選ご紹介させていただきますので、是非、お楽しみ下さい。
1、『顔に降りかかる雨』
1億円を持って消えた、ノンフィクションライターの女性、そしてその行方を追う恋人とヤクザの話です。
話は淡々と進んでいくのですが、中弛みや冗長がないので、物語に引き込まれてしまいます。
ここがポイント
無難な終わり方かと思いきや、実はさらなる展開が待っていることに驚いてしまいます。
第39回江戸川乱歩賞受賞作品です。
2、『OUT』上・下
どこにでもいるような普通の主婦が、思いもよらぬことから犯罪に、手を染めてしまう話です。
登場人物が多く整理するのに戸惑いますが、丁寧に描かれているので、人のつながりが大変分かりやすくて理解できます。
ここがポイント
お金のために人はここまで落ちてしまうのかと思うと、何か切なさも感じてしまいます。
一瞬のきっかけが、怒涛の展開を生み出す作品です。
3、『柔らかな頬』上・下
北海道の別荘地で発生する「現代の神かくし」と呼ばれた、幼児失踪事件の真相に迫る話です。
ここがポイント
因果応報という言葉をそのままいっているような話であり、常に暗い雰囲気が付きまとっています。
登場人物の心境の変化などが丁寧に描かれていて、その卓越した描写には驚かされます。
果たして巧妙に隠された、真相は解明できるのでしょうか。
第121回直木賞受賞作品です。
4、『グロテスク』上・下
現実に起きた「東電OL殺人事件」をモチーフに描かれた作品であり、女性のグロテスクな部分が、あからさまに描かれています。
ここがポイント
女性3人の告白を中心として、ストーリーは展開していき、女性独自のいやらしさが、これでもかと思うくらいに連続します。
共感できる部分も少しくらい、あるにはあるのですが、いざ現実で考えてみると、かなり微妙になります。
自分を客観的に見れる作品です。
5、『路上のX』
様々な理由で親に捨てられた、女子高生3人が経験する、悲惨極まりない出来事の話です。
過酷な状況の女子高生たちを食い物にする、大人たちの狡さには反吐が出てしまいます。
ここがポイント
どんな家に生まれるのかは、自分では決めることができないのです。
女子高生たちの悲痛な叫び声から、何かを感じ取ってもらいたい作品です。
6、『錆びる心』
人間観察の鋭さがうまく描かれている、6編からなる短編集です。
ここがポイント
普通の人間の奥底に眠っている狂気が、巧妙かつ鋭く描かれています。
小さな偶然と、大きな必然の関わりからの惨劇を表現する描写に感服してしまいます。
評判が高い短編集として、人気が高いのも納得できます。
7.『ダーク』上・下
主人公が父親を殺しに行く話であり、物語の冒頭からショッキングな出だしなので、面食らってしまいます。
ここがポイント
女性の心理をこれ程までに追究している作品は、かってあったのだろうかと思うくらい、その描写に心酔してしまいます。
最後までダレルことなく楽しませてくれて、グイグイと引き込まれてしまい、目が離せなくなってしまいます。
まさしくタイトルの「ダーク」に偽りなしといった作品です。
8、『猿の見る夢』
もうすぐ60歳になる、それなりの地位もある、大手銀行員の男の周りでおこる様々な出来事の話です。
よくもまあ、こんなダメ男がいたと、あきれ返ってしまいます。
ここがポイント
欲望と自分の身勝手さを押し通すために、精一杯の努力をする姿にあきれ返ってしまい、滑稽としか、言いようがありません。
桐野氏の描写力によって、長い話も飽きることなく、スラスラと読み進んでいけます。
男のバカさが分かる作品です。
9、『緑の毒』
開業医の男が妻の浮気に嫉妬して、連続レイプ犯になっていく話です。
嫉妬が邪悪な行動に突き動かされ、犯罪に手を染めていく姿がリアリティタップリに描かれているので、すぐに引き込まれてしまいます。
医者にたいするイメージが、180度変わってしまいそうになるほどの衝撃を受けてしまいます。
ここがポイント
フィクションで良かったと思う作品です。
10、『メタボラ』
沖縄を舞台にした、二人の男が交錯しながら破滅へと向かっていく話です。
ダークな世界のおぞましいほどの展開が描かれているので、すぐに物語に引き込まれてしまいます。
ここがポイント
読めば読むほどに、今の社会の構造が悲しいまでに浮かび上がってきます。
辛すぎるラストに、心の闇が見え隠れする作品です。
まとめ
桐野夏生氏の作品のご紹介は、お楽しみ頂けましたでしょうか。
心の闇を描いたら、右に出るものがいないと言われるほどの桐野氏。
覚悟して読んでいただければ、その世界に引きづりこまれること間違いないと思います。
是非、桐野ワールドを体験してみて下さい。