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藤岡陽子おすすめ作品8選をご紹介~チャレンジする勇気を持つ~

人間の再生を描く、藤岡陽子氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきます。

大学卒業後、文章を書く仕事がしたかったとのことで、新聞社に入社し、スポーツ記者として、高校野球やゴルフを取材しています。

しかし、全てをリセットすべく3年半で退社し、タンザニアの大学に留学し、スワヒリ語を学んでいます。

帰国後、小説を書き始め、投稿する日々を続けますが、落選が続いてしまいます。

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藤岡陽子おすすめ作品8選をご紹介~チャレンジする勇気を持つ~

2年連続で、「オール読物新人賞」の最終候補まで残るのですが、受賞を逃し、その後結婚し、出産したことで、小説を書く余裕をなくしてしまいます。

また、経済的に夫に依存することに不安を感じて、看護師資格を取得しながらも、小説を書く意欲は衰えませんでした。

そして2006年に「結い言」という作品で、第40回北日本文学賞選奨を受賞します。

その後、小説宝石新人賞の最終候補に2度残り、受賞には至らなかったものの、2009年に刊行した「いつまでも白い羽根」という作品で、小説家デビューを果します。

そんな藤岡陽子氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきますので、お楽しみ下さい。

1、『いつまでも白い羽根』

大学受験に失敗し、家庭の事情から看護学校に通うことになった瑠美が、様々な経験をとおして成長していく話です。

毎日を憂鬱に過ごす瑠美でしたが、心優しい友との出会いや、厳しい看護実習の中で、生と死に向き合っていくうちに、頑なに閉ざしていた心が、少しずつ開かれていくのです。

でもそれは明るい成長物語というよりも、過酷で厳しい現実に20代の若さで、直面させられる物語でもあったのです。

ここがポイント

何のために人間は生きるのか、何を根拠に人生を送ればいいのか、このような正解のない様々な問いかけに対して、登場人物たちは真剣に悩み苦しみながら、答えを模索していくのです。

人間にとっての本当の強さや優しさとは、何かを正面から見据えて、描いた話であり、登場人物一人ひとりの際立った個性が見事に描かれていて、心に沁みる作品です。

2、『トライアウト』

シングルマザーの新聞記者、久平可南子と、戦力外通告を受けたプロ野球選手、深澤の栄光と挫折と再起を描いた話です。

戦力外通告され、トライアウトを受ける選手を取材するシングルマザーの新聞記者の可南子は、働くために一人息子の考太を実家の両親に預け、周囲には頑なな態度を取りながら生活していたのです。

祝福されない出産、父親を明かさないという決意、肩肘を張る生活をずっと送っていたのです。

しかし深澤との出会いにより、価値観が変わっていき、真直ぐに成長していく息子と見守る家族が、実に温かく、清々しいことに気付いていくのです。

ここがポイント

プロ野球のそれではなく、人生のトライアウトであり、終わる勇気と再生を応援する作品です。

3、『手のひらの音符』

会社の廃業、恩師の病気、幼馴染との思い出、夢、家庭環境に纏わる問題など様々な話が、展開される物語です。

主人公は45歳の独身デザイナーの水樹、経営難により、会社が服飾業から撤退することになってしまうのです。

それまでの道のりを水樹と同じ団地に住んでいた同級生、信也の家族を通して、回想する形で描かれています。

親の都合で振り回される子どもたち、貧困、虐め、事故、病気、進学、就職等。

ここがポイント

時代や環境に翻弄されながらも、自分の想いや願いを叶えることができるのは、やはり、出会った人との繋がりが、自分の想いだけでは叶わない何かを、引き寄せてくれているかもしれないのです。

人生は平坦ではないけれども、諦めないことが道を拓き、再び人と人とを繋いでいくものなのです。

要所、要所で目頭が熱くなる作品です。

4、『晴れたらいいね』

看護師の紗穂は夜勤中に地震で意識を失い、目覚めるとそこは、1944年のフィリピンのマニラで、従軍看護婦として働いている雪野サエの姿になっていたのです。

自分がさっきまで診ていた、患者(雪野サエ)になっているという驚愕の展開であり、最初は元の時代へ戻る手がかりを必死に探す紗穂でしたが、次第に柔軟に適応していき、戦時下で自身の仕事である看護師の仕事を、懸命にこなしていくようになるのです。

戦争の無意味さ、その時代の理不尽さを身をもって体験し、それでも生き抜くことを強く思い続け、行動する姿に感銘してしまいます。

ここがポイント

紗穂の強い意志は、次第に仲間たちにも大きな影響を与え、絶望的に成りつつある環境の中でも、助け合う任務を全うし、生きていったのです。

怒涛の終幕の後に、明かされる衝撃の後日談に、心が揺さぶられてしまう作品です。

5、『テミスの休息』

小さな弁護士事務所を舞台にした、6編からなる連作短編集です。

独立したての弁護士の芳川有仁と、シングルマザーの事務員、沢井涼子の二人が様々な案件に対応していきます。

扱う案件には派手さはありませんが、この2人の誠実な対応と、適度な思い遣りがとても良く、不遇な人への視線は決して上からの同情や過度な思い入れもなく、自然で健やかな善良さを感じてしまいます。

そしてもうひとつ、弁護士芳川と事務員、沢井のとの恋話ですが、先生は乗り気なのですが、思春期の息子を抱えたシングルマザーの彼女はどうも吹っ切ることが、出来ないようなそぶりをみせるところが、清々しく感じます。

ここがポイント

硬軟二本立ての少しだけ、泣ける作品です。

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6、『満点のゴール』

夫の不倫が原因で、奈緒は10歳になる涼介をつれて、年老いた父親が一人で暮らす実家へ帰り、そこで出会った複雑な背景を抱えた人たちとの関りで、看護師としての自立を志す話です。

ペーパーナースの奈緒は、過疎医療の現場に直面し、在宅終末医療に携わる医師の三上と知り合い、壮絶な過去を背負う三上との繋がりや、僻地で暮らす独居高齢者との結びつきの中、最後に行き着く死生観に直面し、葛藤し、そして、生きる意味を探していくのです。

満天の星は暗いからこそ、見えるのであって、人生とは心の中の星をたくさん見つけながら、それぞれのゴールを目指すことなのです。

ここがポイント

患者一人ひとりにドラマがあり、最後まで自分らしく生きようとする姿を見せてくれる作品です。

7、『金の角持つ子どもたち』

サッカー少年であった小学6年の俊介が、サッカーを諦めて、日本最難関の中学受験を決意することを本人・俊介、母・菜月、塾講師・加地の3人の視点で描いた話です。

サッカーをやっていた少年がサッカーを諦めて、勉強し、難関中学に合格するために家族全員で奮闘していく話なのですが、一人ひとり家族に対する愛情が大きくて、本当に素敵な家族だと思いました。

後半は塾講師の加地先生に視点が変わるのですが、彼の話で、「頑張ることの意味」を教えてもらえた気がします。

受験に合格してもしなくても、勉強したその頑張った時間は必ず残るものなのです。

ここがポイント

本当にそのとおりであり、勉強を頑張る人にも、もう勉強を終えた人でも、また勉強したいと思ってもらえる作品です。

8、『空にピース』

授業中に勝手に教室を出ていく子、朝起きれないと学校に来ない子、いつもお腹を空かせた子、日本語が理解できない外国籍の子など、様々な家庭の問題を抱える小学校に赴任したひかりが、担任としてできることを模索していく話です。

学校は社会の縮図であり、経済的に恵まれた子供ももいれば、家庭の問題で、食事すらままならない子どももいるのです。

環境さえ整っていれば、みんな自分で選べる未来があるのにと、思ってしまします。

全てを諦めた子供たちに、必死に寄り添うひかり先生の姿には、エールを送りたくなります。

ここがポイント

事なかれ主義の教職員の同調圧力にも屈せず、奔走する姿が、子どもたちの信頼を勝ちとっていったのです。

子どもたちにとって、向き合ってくれる人がいるということだけでも、何よりも心強く、明るい未来が垣間見えるかもしれないのです。

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まとめ

藤岡陽子氏の作品のご紹介は、お楽しみいただけましたでしょうか。

まだ読んでいない作品がありましたら、この機会是非、読んでみて下さい。

読書の楽しみが広がりますよ。

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