ミステリーの女王として名高い、山村美紗氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきます。
京都市生まれで、大学卒業後、教師として教壇に立つ傍ら、1967年頃から執筆活動を始め、テレビドラマの脚本などを担当します。
1970年に「京城の死」という作品を発表し後、に「愛の海峡殺人事件」と改題し、江戸川乱歩賞候補となり一躍注目を浴びます。
その後1974年「マラッカの海に消えた」という作品で、作家として本格デビューを果します。
山村美紗おすすめ8選をご紹介~衝撃のトリックに酔いしれる~
1975年には、アメリカ副大統領の令嬢である、キャサリン・ターナーを主人公にした長編「花の棺」を発表し、人気を集め、以後このキャサリンシリーズは、彼女の一番の人気シリーズとなります。
その後も、祇園の舞妓探偵、小菊の活躍するシリーズなど、主として京都を舞台とした推理小説を発表し、その多くは2時間サスペンス枠で、テレビドラマ化がされています。
まだまだ活躍が期待されていた山村氏ですが、1996年、東京のホテルで執筆中に倒れて、帰らぬ人となってしまうです。
そんな山村美紗氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきますので、お楽しみ下さい。
1、『花の棺』
キャサリンシリーズの第一弾であり、茶室での密室殺人のトリックの謎に、アメリカ副大統領の娘、キャサリンが挑んでいく話です。
キャサリンが、まだ大学生の頃の話であり、京都に生け花を学びにきた彼女が、後に恋人で相棒になる浜口と初めて出会う記念作品でもあります。
ここがポイント
生け花の流派の問題を背景に、連続殺人事件の中に、雪の茶室の密室殺人、死体移動トリック、ミステリーファンのあなたなら一度は読んでいただきたい本格ミステリー要素が詰まった傑作です。
キャサリンだからこそ、発見できた謎解きは、山村氏ならではの楽しめる作品です。
2、『赤い霊柩車』
交通事故で亡くなった父親の後を継ぎ、京都の葬儀社を切り盛りする女社長の石原明子が、事件に遭遇していく話です。
テレビにもよく登場する大学教授の若くて美しい婦人が急死し、明子のところに葬儀の依頼が来るところからストーリーは展開していきます。
ここがポイント
完璧な死亡診断書も添えられていたのですが、不審を抱いた明子は、やがて遺族の思いがけない姿を暴くことになってしまうのです。
また、明子の恋人、黒沢の馴れ初めや、葬儀社の従業員たちの人となりとかも書かれていて、楽しむことができます。
テレビドラマでお馴染みの「赤い霊柩車シリーズ」の原作であり、ドラマファンには必読の作品です。
3、『エジプト女王の棺』
エジプトのカイロで外交官が謎の事故死を遂げ、同じくして、京都美術館で開催中のエジプト展から、遺宝を盗もうとした男が、謎の中毒死を遂げたところから物語は展開していきます
それらの真相は分らず、迷宮入りしてしまうのですが、その2年後、死んだ外交官の娘が勤務する中学校の修学旅行中に、女子生徒が、旅館の屋上から謎の転落死があり、「エジプト」、「ミイラ」という二つの言葉を残していたのです。
ここがポイント
その二つの言葉は、2年前の出来事と何か繋がりがあるのでしょうか。
そしてその後も、第二、第三の連続変死事件が、起きてしまうのです。
エジプトと京都を舞台に、華麗に展開する国際的スケールの本格推理が味わえる作品です。
4、『小京都連続殺人事件』
珍しい姓を持つ男性が、連続して殺されてしまう話です。
その舞台は、津和野、高山、土佐中村、そして角館と、いずれも風光明媚な”小京都“と呼ばれる観光地なのです。
ここがポイント
そしてその殺人事件の中心には、見え隠れする謎めいた女性の存在があったのです。
名探偵、キャサリンが、それら小京都を探訪しながら、事件の意外な真相に迫り、解決に導いていくのです。
山村氏の代表的人気シリーズであり、テレビドラマ化もされている作品です。
5、『マラッカの海に消えた』
田中亜木子は夫がペナンに単身赴任中に、毎夜、自宅にかかってくる変な電話に悩まされていた。
前の電話の持ち主はデート嬢だったらしい。
ある日寂しさと興味本位から、亜木子はその電話に出てしまい、指定されたクラブへ向かってしまうのです。
そして亜木子は、そこで意外な事実を知ってしまい、夫が赴任しているペナンへ旅立つのです。
ここがポイント
夫への疑惑、異国の地で亜木子の周囲で起きる様々な怪事件、アリバイトリックに密室トリック、これでもかという位、てんこ盛りな内容です。
ペナンの地ならではの風習を用いたラストシーンの余韻に、浸れる作品です。
6、『京都花見小路殺人事件』
京都を舞台に、若き舞妓の小菊と、日本画家である沢木のコンビが、連続殺人事件の謎に挑む話です。
ビールのCMに小菊を含めた舞妓3人が出ることになり、撮影場所の鳥取砂丘にスケッチの為に行くつもりだった沢木も一緒に行くことになるのですが、そのCMの撮影中にビールを飲んだ舞妓1人が倒れてしまうのです。
さらに祇園に戻ってから、もう一人の舞妓も絞殺されてしまうのです。
小菊も狙われているかもと、沢木と小菊は事件を調べ始めるのですが、、、、、。
ここがポイント
祇園に渦巻く舞妓の嫉妬なのか、はたまた芸能界の愛想が絡んでいるのか、真実は闇の中なのです。
難解な謎解きと、現代的で、ユニークな密室トリックの面白さが味わえる作品です。
7、『消えた相続人』
キャサリンシリーズの第四弾であり、浜口准教授の教え子である、田中美子が誘拐され、身代金を要求される話です。
犯人の要求通り、身代金を支払ったのに、人質は返ってこない。
そこでキャサリンは美子を救う為に、起死回生の奇策、何とアメリカの富豪から、誘拐された美子に200万ドルの遺産が送られるというニュースをでっち上げ、それを発表したのです。
さらに偽の美子をテレビにまで出演させ、犯人から連絡させようと試みたのですが、、、、、。
ここがポイント
二転三転する中で、犯人との駆け引きや意外などんでん返しが楽しめ、誘拐物の定番をひっくり返すような斬新な展開が秀逸な作品です。
8、『在原業平殺人事件』
山村美紗氏の急逝に伴い、西村京太郎氏が後を引き受けて、完成した作品になります。
生前の交友の賜物なのか、かなりシームレスであり、違和感を全く感じません。
名門大学研究室の出世争いと恋愛関係が絡む駆け引きに加えて、在原業平の人間関係が絡んでくるのが何とも興味深くて面白くなっています。
ここがポイント
和歌や古典文学、歴史的背景が織り交ぜられているせいか、俗っぽくなり過ぎず、その匙加減も絶妙です。
流石、大家二人の作品、堪能できます。
まとめ
山村美紗氏の作品のご紹介はお楽しみいただけましたでしょうか。
数々の作品を世に送り出し、テレビドラマなどでもお馴染みだと思います。
まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみて下さい。