日常の出来事をテーマにした、さくらももこ氏のおすすめのエッセイ作品10選をご紹介させていただきます。
1984年、静岡の短期大学在学中に、「りぼんオリジナル」冬の号に、『教えてやるんだありがたく思え!』という教師をテーマとしたオムニバス作品で、漫画家デビューを果します。
卒業後は、出版社に入社するも、勤務中に居眠りするなどしたため、上司から、会社を取るか、漫画を取るかの決断に迫られて、漫画を取ることにし、僅か二ヶ月で、退職したようです。
さくらももこエッセイおすすめ10選をご紹介~ほのぼの気分に浸る~
1986年8月から、「りぼん」で、『ちびまる子ちゃん』の連載が開始されます。
そして1989年にりぼんの編集者の方と結婚し、同年『ちびまる子ちゃん』は、第13回講談社漫画賞少女部門を受賞します。
1990年には『ちびまる子ちゃん』がフジテレビ系で、アニメ化され、国民的に知名度を高めていきます。
また、主題歌である、『おどるポンポコリン』の作詞で、第32回の日本レコード大賞を受賞しています。
まだまだご活躍が期待された、さくら氏でしたが、2018年8月15日、乳癌により、死去されています。
そんなさくらももこ氏が遺した、おすすめのエッセイを10選ご紹介させていただきますので、お楽しみ下さい。
1、『もものかんづめ』
初期エッセイ三部作の第一弾であり、ユーモアあふれるお話が、いっぱい詰まっているエッセイ集です。
10代で水虫に罹ってしまった話、嫌いだった祖父が亡くなった話、就職した会社を僅か2ヶ月で辞めてしまった話、結婚することになった話などが、おもしろ可笑しく綴られているのです。
そして、その後の話や巻末の土屋賢二氏との対談まで含めて、さくらももこワールドにどっぷりと浸ることができます。
ここがポイント
さくら氏が若い頃から、血の繋がりというものを抜きにして、家族を一個人として、観察していたことに驚いてしまいます。
そういう視点を持っていたからこそ、あの「ちびまる子ちゃん」が、誕生したのだと思います。
何度でも、読み返したくなる楽しさ溢れる作品です。
2、『さるのこしかけ』
初期エッセイ三部作の第二弾であり、失敗や恥ずかしい出来事を惜しげもなく暴露して楽しませてくれる話が詰まっています。
インド旅行に行った時のお話は、この内容だけでも十分に一冊の作品になる位、クオリティ感があり、かなり楽しませてくれます。
また、相も変わらず特殊な病を、独自の療法や健康法で治してしまう、さくら氏には驚かされてしまいます。
お姉ちゃんのお見合いネタでも、これ以上ない位の笑いを提供してくれます。
ここがポイント
殆んどが、日常のくだらないことや、おかしなことを題材にしているのに、ふとした一言が、妙に心に刺さる作品です。
3、『たいのおかしら』
初期エッセイ3部作の第三弾であり、日常の中で出会うトホホな出来事や、懐かしい思い出が詰まった話です。
相変らずの素敵な笑いを届けてくれるさくら氏が、自分自身のキャラを分っていて、自分の生きたいように生きていたということが、その確固たるスタイルで伝わってきます。
ここがポイント
さくら氏のような視点で、周りを見ることができたのなら、何もない平凡な日常も、とても楽しい日々に早変わりして、毎日誰かに話したいことが、たくさんできると思います。
少し角度を変えてみるだけで、世の中って、こんなに面白いことがいっぱいあるのだと思える作品です。
4、『そういうふうにできている』
さくらももこ氏らしい切り口で、妊娠から出産、子育てまでを描いた話です。
妊娠中は体重がどんどん増えていくということ(お腹の中で赤ちゃんが育っているから当たり前)や、妊婦の8割が便秘に悩まされる等、色々な事が待ち受けていることが綴られています。
さくら氏は帝王切開で初産をしたわけですが、点滴のみで、2~3日ご飯が食べられなかった事実も記されています。
「マタニティブルー」という言葉があるように、ホルモンバランスが崩れ、いつも通りの生活ができなくなるのは大変辛いことだと思います。
辛いけれども、子どもが可愛いという気持ちで、乗り越えていけるのは、「女は弱し、されど母は強し」です。
ここがポイント
さくら氏流に言うなれば、「女は強し、されど母はもっと強し」と言う事ではないでしょうか。
便秘など、少し笑いを誘うような話もありますが、心や魂について考えさせられる深さもあり、子どもを持たない人生の許容や、子どもを個人として認めて、一定の距離感を持つなど、さくら氏の先進的な思考が伺える作品です。
5、『あのころ』
「ちびまる子ちゃん」のこぼれ話エッセイであり、見覚えのある子供時代のエピソードの実話版が、たくさん収録されています。
ここがポイント
かなり前のことなのに、様々なことを細かく覚えている事すらすごいですが、もっと感心してしまうのは、その心理の再現描写です。
親が起こる時の滑稽さの表現や、心の中で謝罪の算段を組み立てていたり、行事ってなんで面倒なんだろうと思ってみたり、子どもは決して無邪気な子ばかりではなく、冷ややかな面を持っている子どもがいることも分かります。
相変らずの読み易さと、きれいなまとめ方は流石であり、観察眼に関してはなかなかなものを感じましたが、子どもながらに結構大人びた視点もあり、そのちぐはぐさが、また何ともおもしろい作品になっています。
6、『まる子だった』
さくら氏がまる子であった、あの頃を綴った爆笑エッセイです。
昭和の匂いが漂ってきそうな作品であり、文通に関しても、現在であるならば、とても雑誌に住所まで載せるという事は個人情報の観点から、到底できないであろうと思われます。
ここがポイント
誕生会やお祭りには心躍らせ、大地震やノストラダムスの大予言に怯え、学校やラジオ体操を何とかして休みたいと思案する気持ちはとてもよく分かります。
日々考える事があって、子どもとっても、毎日は、なかなか忙しいのです。
この作品は子どもにとっての幸せな事や、重大な事ってたくさんあったことを思い出させてくれるのです。
もっと力を抜いて、自然体で生きていってもいいんじゃないと思わせてくれる作品です。
7、『ももこの話』
まる子であった、小学3年生頃の話が中心のエッセイになります。
さくら氏のエッセイは、どの話も、私たちの幼い頃を懐かしむ時間を与えて貰っているような気がします。
特にヒロシにお風呂で歌を教える場面が、非常に愉快で、ももこのキレのいいツッコミも最高なのです。
ここがポイント
また、さくら氏が自分が好きなことに対して、全力疾走する姿に、一種の憧れさえ抱いてしまいます。
おまけページで、歳を取った後のイメージなどが語られていて、少ししんみりしてしまいますが、相変わらず嫌なことも忘れて、楽しく読める作品です。
8、『さくら日和』
さくら氏のプロダクションが、エッセイの三部作でお世話になった出版社の新福さんという方に感謝の意をこめて、パーティを催す話がメインで綴られています。
その他、さくら氏の息子が、自分の母親が「さくらももこ」ではないかと、疑惑を持ち始め、そのことを隠そうと、あの手この手を使うさくら氏や、父親のヒロシと台湾旅行に行った話なども面白可笑しく、描かれています。
ここがポイント
日々生活の中で、何気ないことや、どうだっていいことに、面白味や幸せを見つけて、楽しく過ごすことが、人生には必要であり、さくら氏のエッセイは大人になって読むことで、何か新しい楽しみを与えてくれるのです。
誰かを全力で讃えたり、好きなことに打ち込める大人って本当に素晴らしいと思わせてくれる作品です。
9、『さくらえび』
さくら氏が離婚して、実家で暮らしていた頃のエッセイであり、母や父ヒロシ、息子のめろん登場により、パワーアップしています。
いつも通り、どのエピソードも面白いのですが、やはり父ヒロシの話は、群を抜いていて格別です。
その他にも、みのもんた氏やビートたけし氏など、大物芸能人とのエピソードも飛び出し、楽しめます。
ここがポイント
さくら氏のエッセイに引きつけられるのは、目まぐるしく移り変わっていく時代であっても、変わらない人間関係を描き出すことにあると思います。
素直な文章は大変読み易く、構えずに読むことができるので、気分転換するには、最高の作品です。
10、『ひとりずもう』
さくら氏の小学生時代から、短大時代デビューするまでを綴ったエッセイです。
面白い話だけでなく、夢を追いかけて夢中で頑張る姿、そして読者に向けたエールの言葉に元気づけられてしまいます。
ここがポイント
同じ日など一日もなく、目の前のことをおざなりにしないで、楽しみながら未来を模索し、夢に近づいていく姿勢が伺えます。
学生時代、片思いしても進展はなく、文化祭もサボり、キラキラした青春時代からは遠ざかり、そのまま学生時代が過ぎていくような流れの中で、漫画家を明確に志してからの展開には目を見張るものがあります。
さくら氏にはもともとエッセイの才能があったのかもしれませんが、それを見出してくれる先生がいたから、成功したのだと思います。
後半のさくら氏の夢に向かって、走り出していく姿に胸が熱くなる作品です。
まとめ
さくらももこ氏の作品のご紹介は、お楽しみ頂けましたでしょうか。
何気ない日常をさくら氏独自の観点で表現した文章は、本当に楽しむことが出来ます。
まだ読んでいない作品がありましたら、この機会に是非読んでみて下さい。
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