爽やかな読後感で人気がある、原田ひ香氏のおすすめ作品8選をご紹介させていただきます。
大学卒業後、秘書として働き、29歳で結婚をし、夫の転勤に伴い、北海道、帯広市に転居します。
シナリオを独学で学びながら、フジテレビヤングシナリオ大賞に応募し、最終選考まで残ります。
その後、東京に戻り、時を同じくして、フジテレビから企画の仕事依頼が来るようになったようです。
原田ひ香おすすめ作品8選をご紹介~純文学とエンタメの相克~
2007年に「はじまらないティータイム」という作品で、第31回すばる文学賞を受賞して、作家デビューを果します。
「東京ロンダリング」、「人生オークション」、「三千円の使いかた」など数々の作品が人気を集めています。
現在もその旺盛な執筆力で、次々に創作する、原田ひ香氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきますので、お楽しみ下さい。
1、『東京ロンダリング』
夫と離婚後、生活と心の平衡を保つため、事故物件のロンダリングを始めることとなった、りさ子の話です。
ロンダリングという、アパートやマンションで、人が死んだ物件に住み、次の人に賃貸する時に、瑕疵があることを説明しなくてよくなるという仕事に就いた、りさ子。
離婚後、何もかもに無欲で、無気力だったりさ子が、ある人たちとの出会いをきっかけに、少しずつ変わっていくのです。
ここがポイント
やはり、人の心を癒すのは、温かい人の心でなくては出来ないという事を思い知らされた作品です。
2、『彼女の家計簿』
駆け落ちして心中したとされている祖母、加寿の真相を、当時(戦時下)の家計簿を通して辿っていく話です。
その家計簿を偶然手にした、孫でシングルマザーの里里が、家計簿を読み解く中で、家族の歴史を辿っていくのです。
ここがポイント
戦中戦後の家計簿に日々の想いを書き綴った加寿の言葉は、やがて現代の複雑な思いを抱えた女性たちの背中を押していくことになるのです。
あなたの悩み、この家計簿が晴らしてくれるかもしれません。
3、『ミチルさん、今日も上機嫌』
バブル期を謳歌した、バツイチ、子無しで、生まれて初めて男にも裏切られた、45歳の山崎ミチルさんの話です。
墜ちるところまで墜ちているのに、なかなか現実を受け入れることができず、バイトの面接も不採用続きだったのですが、そんな中、ポスティングの仕事が見つかるのです。
そして、そこで出会った人たちとの関わり合いのなかから、自分を見つめ直すことができていくのです。
ここがポイント
バブルの景気とか社会情勢が、個々人の人格にまで影響を及ぼしていたことが、手に取るように分かります。
自分らしい、等身大の生活を楽しむことが出来れば、幸せなのかもしれません。
4、『ギリギリ』
夫を亡くした瞳と、再婚した健児、そして瞳の元夫の母である静江を中心にギリギリの距離感で、バランスがとれている暮らしを描いた話です。
妻目線、夫目線、母親目線と各章で変わるそれぞれの目線で、話は進んでいきます。
誰しもが抱いているもやもやしたものを、言葉にすれば、こんな感じになるのかと思ってしまいます。
ここがポイント
生きていく上で、嫌なことはたくさんありますが、嫌な人がすべて悪い人でもなく、優しい人がずっと優しいままではないのです。
人はいろんな姿を見せながら、生きているんだと考えさせられる作品です。
5、『ランチ酒』
夜から朝まで、人やペットを見守る仕事(見守り屋)をしている主人公の祥子が、仕事が終わった日のお昼に、ささやかな贅沢として、ランチとお酒を楽しむことが綴られた、連作短編集です。
ここがポイント
女性1人のランチとお酒は気後れしてしまいそうですが、美味しそうに描かれているので、食べに行きたい衝動に駆られてしまいます。
実在しているお店もあり、また見守り屋という独特な仕事から、会う相手ひとり一人の生き方なども見えてきたり、祥子の悩みや生き方が、等身大の人間ぽくて共感してしまいます。
食と食の間に、主人公、祥子の人生がしっかりと描かれている作品です。
6、『三千円の使い方』
御厨(みくりや)家の4人の女性たちが、お金を通して、人生のピンチをどう乗り越えるのかが、リアル感タップリに描かれている話です。
24歳独身で会社員の次女、子持ちで専業主婦の29歳長女、55歳専業主婦の母、そして73歳の祖母、世代や立場により、お金の悩みも様々なのです。
ここがポイント
誰しもお金を貯めなきゃと思うものの、つい目の前の欲しいものに飛びついてしまい、なかなか思うようにお金が貯まらないのです。
そんな意識を変えてくれそうな内容であり、決して3,000円をどう使うかといった内容ではありません。
家族間のお金にまつわるエピソードが綴られていて、お金の使い方を見直してみようと思える作品です。
7、『まずはこれ食べて』
学生時代の仲間で始めたベンチャー企業に、料理上手な家政婦の筧さんが絡む6編+エピローグの連作短編集です。
筧さんにより、今まで汚かった事務所は綺麗に掃除され、美味しいご飯が提供され、みんな頑張っていくのですが、途中から雲行きがあやしくなっていくのです。
そして筧さん自体も、なんだかあやしく感じられるようになり、展開に予想がつかなくなります。
ここがポイント
ただのホッコリものではないという流れで、日の当たる場所の裏側を見た感覚になってしまいます。
しかし、美味しいものの描写は見事であり、また、日陰を描く力もすごいと思う作品です。
8、『一橋桐子(76)の犯罪日記』
未婚で独り身の76歳、一橋桐子が3年間同居していた友人に先立たれ、行く末を案じ、罪を犯すことにより、刑務所に服役し、生活安定を目論む話です。
高齢者社会の種々の問題を垣間見た感があり、身寄りがない、年金だけでは生活できない、社会的弱者の事が分かります。
同居していていた友人を亡くした桐子は、生活に不安を感じ、刑務所に入れば一生面倒みてもらえるという事を知り、犯罪方法を考えるのです。
しかし、いろいろと犯罪を試みるのですが、上手くいかなく、そんな時その過程で知り合った人々が助けてくれるのです。
ここがポイント
家族や頼る人が居なくても、社会と繋がっていくことが大切だという事が分かります。
少し泣きたくなるような穏やかなラストに、切ない余韻が残る作品です。
まとめ
原田ひ香氏の作品のご紹介は、お楽しみ頂けましたでしょうか。
爽やかな読後感に浸っていただけましたでしょうか。
まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみて下さい。
読書の楽しみがひろがりますよ。