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千早茜おすすめ作品8選をご紹介~読者に伝えられる何かを描く~

本との出会いを大切にする、千早茜氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきます。

大学卒業後は普通に就職したり、ケーキ屋さんで働いたり、医療事務をしたり、美術館でアルバイトをしたりいろんな職業を転々としていたそうです。

大学が京都だったので、ずっと京都で、パティシエになろうと思った時期もあったそうで、食のエッセイも読んでいたそうです。

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千早茜おすすめ作品8選をご紹介~読者に伝えられる何かを描く~

父の仕事の都合で、小学生時代の大半をアフリカのザンビアで過ごし、高校時代は学校よりも図書館で過ごす時間の方が多かったようです。

2008年に小説すばる新人賞を受賞した「魚神(いおがみ)」で作家デビューを果します。

2009年には同作にて、泉鏡花文学賞、2013年には「あとかた」で島清恋愛文学賞を受賞します。

「あとかた」と2014年刊行の「男ともだち」はそれぞれ、直木賞候補に挙がっています。

そんな千早茜氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきますので、お楽しみください。

1、『魚神』

本土から隔絶された遊郭で成り立っている離島での、白亜とスケキヨという姉弟の抗えない運命を描いた話です。

本土から離れ、存在自体もなき者として扱われるその島に、捨てられていた姉と弟だったのです。

腐臭漂う水に囲まれ、生きていく美しい二人の別離から再会までを幻想感タップリに描かれています。

雷魚と遊女と夢を喰らう獏の伝説が絡み合い、何とも言えない雰囲気を醸し出しています。

ここがポイント

血生臭く、壮絶な内容の割には、最後に残ったものは燃え尽きた残骸だけのような捕まえられない虚しさを感じてしまうのですが、何故か幻想的、耽美的な世界観に酔わされてしまいます。

異空間を漂っている気分にしてくれる作品です。

集英社
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2、『からまる』

7人の男女がいろんなところから繋がり、生きていく姿を描いた7編からなる連作短編集です。

表題のように登場人物それぞれの人生が、恋愛や死生観を通して絡み合っていくのです。

ここがポイント

人は見た目以上に内面に複雑な気持ちを抱えていて、本心とは裏腹に、自分で自分を傷つけてしまう事だってあるのです。

どの話も他人には語れない、自分の闇が独白されていて、それでも生きていく姿が痛くて、切なくて、愛おしくなるのです。

それぞれの悩みや想いは、複雑でやりきれない部分もたくさんあるのに、不思議とその繋がりは、息苦しくなく、人の命と命をそっと育み、繋ぎとめるような優しい印象を与えてくれる作品です。

3、『あとかた』

ある人の死を中心に、主役を変えながら繋がっていく、6編からなる連作短編集です。

いずれの話も登場人物が重ねっていて、孤独を持ち寄る男女の曖昧な触れ合いを描き出しています。

秘められた若いエネルギーと情熱が屈折した形でぶつかり合い、語り尽くせない本音の欠片が見え隠れする様子に読み応えを感じてしまいます。

ここがポイント

どちらかの我慢の上で成り立つ関係は、絶対うまくいかないようになっている事が、分かります。

人と関わり合いながら生きていくことの難しさ、葛藤、そして喜びが凝縮された作品です。

4、『男ともだち』

男女間の友達という、成り立ちそうで、なかなか成り立ちそうもない、難しい関係を魅力的な主人公、神名葵を中心に特徴のある登場人物たちが紡ぎ出す話です。

恋人と同棲しながらも、他の男性とも関係を続けている主人公のイラストレーターの神名葵。

傍から見れば、眉をひそめられそうな彼女の奔放さの理由は、読み入っていくうちに、何となく腑に落ちていくから不思議です。

男友達であるハセオとの関係はかなり特殊な気もしないではないですが、この関係なくしてはこの物語はありえないのです。

ここがポイント

性を意識しないで、付き合える異性の友達がいたら、最高だろうなと思わせてくれる作品です。

5、『西洋菓子店プティ・フール』

東京下町の西洋菓子店である「プティ・フール」を舞台に彩られた6編からなる連作短編集です。

プティ・フールは昔ながらの、しっとりとしたシュークリームが人気のお店なのです。

孫娘の亜樹も、じいちゃんの弟子の菓子職人として、奮闘中なのです。

プティ・フールを取り巻く人たちの物語は、亜樹の作るお菓子と同様に、甘美な洋酒や刺激的なスパイス、ビターなカラメルが容赦なく効いているように思います。

ここがポイント

伝わらない想いや、思い通りにいかない歯痒さを抱えつつ、それでも前に進もうとする人々がいるのです。

どこまでも真っすぐで、片思いを貫く女の子が健気で素敵な作品です。

6、『神様の暇つぶし』

容姿に自信がなく、恋愛経験もない二十歳の女子大生の藤子が、父親よりも年上の写真家の全さんに惹かれ、初めての恋に溺れていく話です。

父を突然の交通事故で失い、一人暮らしをする女子大生の藤子の元に、父の古い友人で近所でカメラマンをしている全さんが現れます。

やがて全さんは藤子の心の中にグイグイと入り込んでいき、藤子は全さんにドンドン惹かれていくのです。

突然目の前に全さんのような懐の深い、それでいて本心を見せない男が現れたら、大抵の女性は狂ってしまうのかも知れないと思ってしまいます。

ここがポイント

ひと夏の濃密な、そして残酷な恋愛を通して、子供であった藤子が女へと成長していく作品です。

文藝春秋
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7、『さんかく』

京都の古い町屋で暮らすことになったアラフォー女性、夕香と、食の趣味が合うという理由で、同居することになった若い男性の正和、そしてその正和に絡む恋人の華の話です。

これら3人の視点が入れ替わりながら、物語は進んでいきます。

タイプの違う3人のそれぞれの考え方、生き方が巧みに描き分けられているので、それぞれの性格が分かり易くなっています。

ここがポイント

ある年齢を過ぎると、誰かとの関係性は、誰かが自分のことを必要とすることを求めて始まるのかもしれないと、思います。

そしてそれが恋愛ではないからこそ、大切な関係が築けるのではないでしょうか。

三角関係未満な男女3人を独特に描いた作品です。

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8、『ひきなみ』

瀬戸内の閉鎖的な島を舞台に、2人の女の子、葉と真以が出会い、友情を育み別れ、そしてまた出会う話です。

第一部の風景描写とは対照的に島の閉塞感と、男たちに抑圧される女たちの姿が息苦しく感じてしまいます。

それは第二部から始まる社会へ出ても変わらなくて、女性の生きづらさに繋がっているのです。

性別や過去、家族の問題がずっとついて回り、個人として生きることの難しさを浮き彫りにさせます。

ここがポイント

それぞれに生きづらさを抱えた少女たちが、あの頃に出逢えたことが、救いに思える作品です。

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まとめ

千早茜氏の作品のご紹介は、お楽しみいただけましたでしょうか。

また読んでいない作品がありましたら、この機会に是非読んでみて下さい。

千早氏の想い描いている何かが、きっと伝わると思います。

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