元気が貰える、古内一絵氏のおすすめ作品7選をご紹介させていただきます。
大学卒業後、映画会社に就職し、その後、中国語翻訳者となり、2010年に「銀色のマーメイド」という作品で第5回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞し、2011年同作を「快晴フライング」と改題して小説家デビューを果します。
子供の頃から本が好きで、もともと物語も書いていたので、作家になりたいと思う気持ちは、ぼんやりとあったようです。
古内一絵おすすめ作品7選をご紹介~弱者のための作品を描く~
現在の執筆活動は、さぼっているわけではないですが、取材活動を兼ねて、よく、あちこちに出かけているそうなので、週に3日くらいしかしないそうです。
それこそ、図書館や本屋さんに行ったり、情景が必要な時は、その景色を見に行ったりしているそうです。
古内氏の場合、映像が浮かばないと、全く筆が動かなくなってしまうそうなんです。
そんな古内一絵氏のおすすめの作品7選をご紹介させていただきますので、お楽しみください。
『快晴フライング』
交通事故で主将を喪い、廃部寸前となっている中学水泳部が舞台の話です。
水泳部存続の為、部員で人一倍身勝手であった龍一と、正反対で真面目な敦子が、難局をいかに脱しようかと努力していきます。
ここがポイント
主人公をはじめ一人ひとりの性格描写が個性的であり、彼らを取り巻く周囲の大人も子供たちも温かく見守っていて、心地よくホッとした気分にさせられます。
性同一障害やドラッグクイーンといったマイノリティの話もあって、いろいろと考えさせられます。
前向きで活力が湧いてくる作品です。
『十六夜荘ノート』
海外で亡くなった顔も知らない大伯母から、遺産として都内一等地の邸宅を贈られた青年の話です。
贈られたのは、十六夜荘というシェアハウスであり、建物をつぶして相続の準備を進めていたのですが、何故、大伯母は自分に相続させようとしたのかという疑問が湧いてきます。
そして大伯母の人生を現代と戦時中の両方の視点から探っていった結果、太平洋戦争後の混乱しきった時代に、自分の信念と誇りを守るために、戦い抜いた華族と呼ばれた女性への物語に発展していくのです。
ここがポイント
男性にはとてもできない、女性の覚悟を見せつけられたような作品です。
『風の向こうへ駆け抜けろ』
藻屑の漂流先と揶揄されるような、寂れた弱小厩舎へ配属された、新人女性ジョッキーの芦原瑞穂の話です。
競馬界という男社会の中で、馬と寄り添い、どれだけ努力しても色物として扱われる理不尽さと戦いながら、ジョッキーとしての成長を目指していきます。
成功と失敗を繰り返しながら、人馬一体となって、風の中を颯爽と駆け抜ける勇姿は、何とも言えない爽快感に溢れています。
ここがポイント
ひたむきに前を向いて進んでいく主人公の姿は清々しく、元気が貰える作品です。
『痛みの道標』
仕事で追い詰められて、自殺を図った主人公が死んだはずの祖父に助けられる話です。
祖父の交換条件は隠し口座の情報を教えることと引き換えに、ある女性を捜すためにボルネオ島へ行ってほしいとの依頼を受けるのです。
そして主人公の達希はボルネオ島に向かい、祖父が体験した戦争の驚愕の真実を知ることになるのです。
非条理な組織の在り方に憤りを感じ、いつの世も下の者は帳尻合わせの、トカゲの尻尾切りなのかと思ってしまいます。
ここがポイント
忘れるのではなくて、赦すことが本当の償いなのだとわかる作品です。
『マカン・マランー二十三時の夜食カフェ』
マカン・マラン・シリーズの第一弾であり、4つの短編が収録されています。
どの話もドラァグクイーンのシャールさんが作る美味しくて身体によさそうな料理が魅力的で、その人の体質、体調に合わせた料理は薬膳のようでもあり、不足しているものをやさしく補ってくれるのです。
人は自分をそのまま受け入れてくれる場所や、同じ悩みを持った人がいれば、前向きになれるし、強く優しくなれそうな気がするのです。
ここがポイント
このままの自分でいいのかなあと、悩んでいる人におすすめしたい作品です。
『蒼のファンファーレ』
「風の向こうへ駆け抜けろ」の続編であり、新米ジョッキーの瑞穂と馬と厩舎の人々へ明るい光が差したところへ、暗雲が立ち込めてくる話です。
人から忌み嫌われる容貌のフィッシュアイズと、過去に傷つけられた人たちと出来過ぎな展開ですが、ズドンと突き刺さるような真直ぐな言葉が、本当に強くて眩しくて、涙腺が緩みっぱなしになってしまいます。
ここがポイント
馬鹿にされても、踏みつけられても、諦めずに目指し続ければ、必ず勝者になり得る契機が訪れるのです。
読後感がとても爽快になる作品です。
『アネモネの姉妹 リコリスの兄弟』
この作品は6つの物語で構成されていて、花言葉というキーワードで繋がっています。
ここがポイント
兄弟姉妹は親からの評価で嫉妬してしまったり、ちょっとした思い違いや、思い込みで確執が生じたりしてしまうものなのです。
そして、簡単に関係が切れない分、複雑な思いが残ってしまうものなのです。
クールな環境で育っていたなら、面倒くさい感情のもつれもないけれど、絆は強くなりません。
兄弟姉妹の関係を良くするのも、悪くするのも周りの家族が関係しているのではと、思えてしまいます。
まとめ
古内一絵氏の作品はお楽しみいただけましたでしょうか。
まだ、読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。
あなたの1ページに加えてみてください。