落ち着いた気持ちになれる、岡崎琢磨氏のおすすめの作品を8選ご紹介させていただきます。
大学まではミュージシャン志望だったのですが、小説の方が性に合っていると感じてからは、就職活動を一切行うことなく、作品を書き続けたそうです。
そして卒業と同時にに実家のある福岡に戻り、寺院に勤務する傍ら、執筆を続けていきます。
岡崎琢磨おすすめ8選をご紹介~日常の謎のサプライズを描く~
自分たちが生きている、普通の世界の中に存在しうる謎を書くことによって、日常の中で感じること、葛藤することなどを描けるのだそうです。
また普段思う、ささやかだけれど、大切なことを描くために、「日常の謎」というものは、すごく適しているのだそうです。
ネタに詰まると公園に行ったり、歩いて、考えて、そしてイメージできたものを持ち帰るのだそうです。
そんな岡崎琢磨氏のおすすめの作品を8選ご紹介いたしますので、お楽しみください。
『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』
珈琲店タレーランの事件簿の第一弾であり、京都を舞台とした珈琲店の女性バリスタ、切間美星が探偵役であり、日常の謎をコンセプトとしたミステリーと主人公の恋愛が繰り広げられる話です。
事件ものではない、日常の些細な疑問を解決するタイプのミステリーになっています。
ここがポイント
珈琲店の女性バリスタとそこの客の物語だけあって、作中には珈琲の蘊蓄がたくさん出てきますが、程よい良さで作品を引き締めています。
珈琲の名前が登場人物の名前になっていて、珈琲の様な終盤でのほろ苦い終わり方が大変魅力的な作品です。
『珈琲店タレーランの事件簿2 彼女はカフェオレの夢を見る』
珈琲店タレーランの事件簿の第二弾であり、相変わらずの連作短編に見せかけた長編であり、物静かで頭脳明晰な姉、切間美星と陽気で天衣無縫な妹、美空の出生の真実が出てくる話です。
二人の過去に焦点をあてた、少し深刻な展開で、サスペンスチックな動きもあり、グイグイ引き込まれてしまいます。
基本的には、各章ごとに謎解きがされていき、やがて大きな事件へと展開していきます。
ここがポイント
相変わらずの美星の推理力は見事であり、本格ミステリーを読んでいる時のような高揚感が味わえる作品です。
『珈琲店タレーランの事件簿3 心を乱すブレンドは』
珈琲店タレーランの事件簿の第三弾であり、関西バリスタコンペティションである「KBC」の本線出場を勝ち取った美星と彼女の協力者となったアオヤマが、競技中に起きた異物混入騒動に巻き込まれる話です。
ここがポイント
次々と起きる事件は不可解であり、真実には切ないものもありますが、その解決ぶりは抜群の安定感があり、楽しめます。
怪しい人たちばかりで、誰が犯人でもあり得るような展開で、事件や2人のコンビネーションも見ごたえがあり、バリスタというものの知識がとても興味深く描かれています。
混じりけのない心で、淹れてもらった珈琲を飲んでみたい気分になる作品です。
『珈琲店タレーランの事件簿4 ブレイクは五種類のフレーバーで』
珈琲店タレーランの事件簿の第四弾であり、5編の短編と特別書き下ろしの掌編からなる話です。
今まではアオヤマの視点で書かれていましたが、本作はそれぞれの短編が、第三者の視点で進められていきます。
ここがポイント
脇役のような形式ですが、美星バリスタも登場していて、叙述トリックがあったり、美星の過去が描かれたりと、それぞれ短編ならではの味わいが楽しめる内容です。
短いながらも、まとまっていて、ほんわかとした気持ちになれる作品です。
『珈琲店タレーランの事件簿5 この鴛鴦茶がおいしくなりますように』
珈琲店タレーランの事件簿の第五弾であり、アオヤマ君が初恋相手の眞子と11年ぶりに再会する話です。
眞子は悩み事にアオヤマを巻きこもうとして、美星に嘘を看破されてしまいます。
それでも眞子を放っておけないアオヤマは、美星と共に摩子の悩みを解決するために動き出していくのです。
ここがポイント
源氏物語を随所に散りばめた話であり、眞子を襲った不幸と悪意には哀しみと憤りを感じてしまいます。
ちょっとした謎や小話も興味深く、聞いただけでコリコリと真実を見破る美星さんが頼もしく思える作品です。
『珈琲店タレーランの事件簿6 コーヒーカップいっぱいの愛』
珈琲店タレーランの事件簿の第六弾であり、病に倒れたオーナーの藻川氏の依頼で、美星とアオヤマガ過去の夫婦喧嘩の原因を調査する話です。
藻川の孫の小原も参加し、亡くなった妻の一週間の謎の家出を解明するために、浜松、京都、天橋立を飛び回ります。
そして、珈琲店タレーランの誕生が明らかになっていくのです。
ここがポイント
登場人物それぞれが、抱いていた深い愛が、ミステリーを通して描かれていて、謎が解き明かされると共に幸せな気分に浸れます。
ほろ苦くて切なくなってしまいますが、温かく希望に満ちた作品です。
『道然寺さんの双子探偵』
道然寺の縁側に捨てられていた、双子の子供、レンとランが引き取り手の若住職と日常に起きた問題を推理していく連作短編集です。
ここがポイント
双子探偵それぞれが、性善説と性悪説の立場から、謎を解いていくのですが、正反対の立場であるために、二人の推理によって事件がまるで異なる様相になり、面白くなっています。
また、お互いの推理が影響を与え合うことで生まれる、双子の成長物語としての楽しみも兼ね備えています。
人情味溢れる物語であり、おだやかな心地にさせてくれる作品です。
『病弱探偵 謎は彼女の特効薬』
病弱探偵である、貫地谷マイがありとあらゆる病気に苦しめられながらも、幼馴染である、山名井ゲンキからもたらされる、日常の謎をベッドで横になりながら、解決していく6編からなる連作短編集です。
ここがポイント
読みやすい文体で綴られていて、等身大の謎解きや、甘酸っぱい恋愛風味とかが、詰まっています。
推理は勿論のこと、名前なども病関連で固めてあるので、思わず笑いを誘ってしまいます。
また主人公たちのかけ合いやオチが謎解きよりも楽しめるのも、面白く感じてしまいます。
気楽に読めて、楽しくなる作品です。
まとめ
岡崎琢磨氏の作品はお楽しみいただけましたでしょうか。
すぐそばにある、日常のサプライズには浸っていただけましたでしょうか。
まだ、読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。