スピード感が満載の河合莞爾氏のおすすめ作品8選をご紹介させていただきます。
大学卒業後、出版社に勤務し、2012年に「デッドマン」という作品で、第32回横溝正史ミステリ大賞の大賞を受賞して、作家デビューを果します。
作家専従ではなく、今でも出版社で編集者として勤務をしています。
河合莞爾おすすめ作品8選をご紹介~鮮烈なイリュージョンで魅了~
小説を書いたのは、定年後もずっと続けられる趣味が欲しいと思ったのがきっかけだったようです。
別に外に出すつもりは無かった様ですが、唯一の読者であった奥様が面白いと言ってくれたことで、賞に応募したそうです。
そして約一年かけて完成した作品で、見事、横溝正史ミステリ大賞を受賞し、ホッとしたそうです。
また、もっとも影響を受けたミステリー作家は島田荘司氏で、その現実ではありえないようなシーンが、惜しげもなく描かれていることに、えらく感銘を受けたそうです。
そんな河合莞爾氏のおすすめの作品8選をご紹介いたしますので、お楽しみください。
『デッドマン』
鏑木特捜班シリーズの第一弾であり、頭部のない死体、胴体のない死体、そして腕や脚のない合計6人の死体が発見される連続猟奇殺人事件の話です。
そして、その死体の一部をつなぎ合わせて蘇ったデッドマンから一通のメールが届くのです。
鏑木警部補率いる曲者揃いの特捜班が事件を解明していく流れになります。
ここがポイント
警察側とデッドマンとの交わらなかった視点が徐々に近づいていき、双方の視点が重なった時に、真相が解明されるのです。
徐々に明らかになっていく真相に目が離せなくなってしまう作品です。
『ドラゴンフライ』
鏑木特捜班シリーズの第二弾であり、多摩川で臓器を抜き取られた焼死体が発見されるところから始まる話です。
被害者が身に着けていたトンボのペンダントを手掛かりに、鏑木班は群馬県のトンボの郷、飛龍村へ向かうのです。
被害者はダムに沈む飛龍村出身だと判明し、ダム建設に絡む汚職事件や20年前の未解決事件などが絡み、事件は複雑さを極めていきます。
ここがポイント
そして、刑事たちは震えるほどの哀しさ、切なさ、怒りを感じながら、不幸を呼び込む結果を知りながらも、真実を追求していくのです。
スピード感もあり、二転三転する展開が楽しめる作品です。
『ダンデライオン』
鏑木特捜班シリーズの第三弾であり、廃牧場のサイロで発見された空中に浮かぶ、ミイラ化した遺体に挑む鏑木班の話です。
そして今回は事件の進行と同時に、鏑木班のメンバーのひとりである姫野の過去も絡んでくるのです。
ここがポイント
関連性のない2つの密室殺人が、1つの大型テロ事件に発展する展開が事件の鍵になっていくのです。
そして事件に首を突っ込んでくる公安や、被害者の過去と様々な伏線が絡まりながら展開していくのです。
そつのない巧さが堪能できる作品です。
『救済のゲーム』
大会を控えたゴルフ場で一種の見立て殺人が起きる話です。
全米オープン開催前のゴルフ場の18番ホールで、ピンフラッグに串刺しにされた死体が発見されます。
それはまるで騎兵隊によって虐殺された、インディアンの呪いのような様相であり、その謎に無名の天才ゴルファーが挑んでいくのです。
色々と意表をつく展開もありかなり楽しめ、まるで翻訳ものを読んでいるかのような文体で楽しめます。
ここがポイント
ミステリーとしては珍しい、ゴルフを題材にしていて、ゴルフが無知な人でもかなり楽しむことができる作品です。
『800年後会いにいく』
800年後の未来から、PCに送られてきた動画を見た主人公の飛田旅人が、800年後に行こうとする話です。
動画を送ってきた謎の少女、メイのメッセージはスズランを届けてほしいという内容であった。
ここがポイント
果たしてどうやってスズランを持って彼女に逢いに行くのか、試みる手段が斬新で面白くて楽しめます。
話の中盤までは、原発、テロ、人口知能などの話題ですが、後半で魅力的なSFミステリーになります。
アイデアに驚いてしまう作品です。
『スノウ・エンジェル』
完全なる麻薬の「スノウ・エンジェル」の根絶を目指し麻薬取締官が刑事に捜査協力を依頼する話です。
スノウ・エンジェルとは完全なるドラッグであるにも関わらす、人体に一切害はなく、強い依存症のみを持つ物質なのです。
ここがポイント
密輸暴力団組織との駆け引きや、二転三転する展開、本当の悪者は誰で、どこに潜んでいるのか、目が離せなくなってしまいます。
相変らずの凄い吸引力に引っ張られてしまう作品です。
『燃える水』
中小電機メーカーの技術者、曽根が自宅で謎の感電死をとげたことから話は始まります。
大手電機メーカーをリストラされた平原が中小電機メーカーの人事課長となり、皮肉にも今度はリストラする側に回るのです。
そしてその曽根の感電死の件を社長から依頼された平原が、調査に乗り出していき、太陽熱温水器が中心の小さな会社に、燃える水を精製する技術がしたためられていることに気付いてしまうのです。
ここがポイント
人類がかかえる燃料問題を一気に解決する大発明がされると、何が起こるのかという発想が面白く目が離せなくなります。
リストラの話にエネルギー問題も絡み二転三転する展開が楽しめる作品です。
『ジャンヌ』
ロボット三原則に反して、人を殺してしまった人型家事ロボットのジャンヌの話です。
近未来の日本を舞台にしていて、人口減少の進んだ日本が、どのような姿になっているのかが説得力タップリに描かれています。
警察官の相崎はジャンヌを調べるために拘束し、製造元へ輸送の途中、謎の武装集団に襲撃されてしまい、大きな陰謀に巻き込まれてしまうのです。
ここがポイント
人類とAIのもたらす未来は、果たしてバラ色なのか、あまりに万能なジャンヌの性能に魅せられつつ、人間の愚かさを痛感してしまう作品です。
まとめ
河合莞爾氏の作品はお楽しみいただけましたでしょうか。
まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。
読書の楽しみが広がると思います。