怖さが滲み出る描写で定評のある、五十嵐貴久氏のおすすめの作品11選をご紹介させていただきます。
五十嵐氏は気分が紛れるからという理由で、日中は家の中で仕事をするよりも外(喫茶店等)で仕事をすることが多いとのことです。
そして大学ノートにしたためたその原稿を、家で推敲しながらパソコンに打ち込んでいくそうです。
毎月のように新刊を出しているので、さぞかし忙しいと思いきや、「明日できることは、明日に回す」主義のようです。
五十嵐貴久おすすめの11選をご紹介~幅広い作風で魅了する~
自宅の仕事部屋には余分なものは一切置かない主義のようで、過去の資料とか読んだ本は、よほどのことがない限り処分しているようです。
面白いと思った映画に刺激を受けることも多く、週に2~3本は昔の映画を観るとのことです。
映画好きなところも相成って、エンターテイメントに富んでいる、ジャンルレスな作品を発表し続けています。
そんな五十嵐貴久氏のおすすめの作品を、刊行順に11選ご紹介いたしますので楽しんでください。
1、《リカ》
出会い系で知り合った顔も分からない、リカという女に付きまとわれる男の話です。
最初は順調に思えた関係だったのですが、徐々におかしな方向へと進んでいくのです。
逃げ場もなく追い詰められていく主人公は果たして、、、。
ここがポイント
そうしてリカはもはや人間の域を超えた憎しみや怨み、そして妬みから生まれた化け物と化してしまうのです。
想像を絶する、ホラー作品に間違いありません。
2、《交渉人》
コンビニ強盗をした三人組の犯人が、人質五十人を盾に病院に立て籠もる話です。
ここがポイント
序盤はネゴシエーターのスペシャリストである、石田警視正の巧みな誘導が、メインで展開していきます。
終盤にかけては犯人逃走から発生する、人質の殺害等、衝撃の真実が明かされていきます。
社会への問題提起もあって、楽しめる作品です。
3、《1985年の奇跡》
1985年を背景にした弱小野球部の奇跡の躍進の話です。
弱小野球部にスーパー高校生のエースが入部したことにより、公式戦未勝利の野球部が甲子園を目指していきます。
ここがポイント
序盤は単なる青春根性もののような話なのですが、終盤にかけては加速度的に軽快なテンポと、ユーモアで心のひだをくすぐる物語へと展開していきます。
エンタメの見本のような作品です。
4、《Fake》
興信所の調査員たちが依頼された浪人生のセンター試験で、合格させるために完璧なカンニングをさせるが、実はそれは罠だったという話です。
そして騙された調査員たちは依頼者への復讐を企て、10億円をかけたポーカー勝負にでるのです。
登場人物のキャラクターも分かりやすく、テンポもよく、進む展開もうまく描かれています。
ここがポイント
そして圧巻は最後のどんでん返しで、ハラハラさせられますが面白く読める作品です。
5、《2005年のロケットボーイズ》
超小型人工衛星の制作に挑む、工業高校生たちの笑いや涙を結集した圧倒的青春物語です。
ここがポイント
主人公をはじめ、登場人物たちの大半は、ハミ出し者なのですが、その連中が一弾となって挑んでいく姿は、感動さえ覚えてしまいます。
青春を謳歌する主人公達が、羨ましく思えるロマン溢れる作品です。
6、《誘拐》
誘拐犯と警察の行き詰まる攻防を描いた話です。
現職総理大臣の孫が誘拐され、犯人は旅行代理店を辞めたばかりの男なのです。
ここがポイント
そして男が出した要求に、政府は混乱の渦に巻き込まれてしまうのです。
動機は身代金目的なのか、復讐なのか、はたまた政治的なことが関係しているのでしょうか。
手口は決して現実的とは言い難いですが、先のことを読みたくさせるプロットに引きずられる作品です。
7、《誰でもよかった》
渋谷駅前のスクランブル交差点で、突然、無差別殺人が起きてしまう話です。
殺人方法もかなり強烈で、状況にに圧倒されそうになります。
実際にあった秋葉原の事件を思い出してしまいます。
犯人は人質を取り、近くの喫茶店に立てこもり、交渉人が指揮をとり犯人に挑んでいきます。
ここがポイント
タイトルに隠された真意が、分かる作品です。
8、《リターン》
関係者を震撼させた「リカ」の事件から10年が経ち、またあのリカが動き出し、戻ってくる話です。
ここがポイント
ブランクを全く感じさせないリカの化け物ぶりは健在であり、歪んだ愛情を持ち、独自の倫理と世界で生きていたのです。
今回は警察組織とリカの対決が描かれていて、、リカを追い詰めていく展開に、目が離せなくなってしまいます。
やはり怖すぎます。
9、《贖い》上・下
東京・埼玉・愛知の三つの場所で、幼児の殺害事件が発生する話です。
被害者の年齢も性別も違う三件の幼児殺害事件が、一つの共通点で、繋がっていくのです。
捜査線上に浮かんだ犯人の像は、周りの誰もがイイ人だと評する定年間際の男性だったのです。
何十年も前の出来事が、関わった人たちの人生を、狂わせてしまうことだってあるのです。
何かやるせなくなってしまう、作品です。
10、《炎の塔》
高さ450mを誇る日本一の超高層ビルで大火災が発生し、消防士たちが命を賭して消火と救助活動に挑む話です。
映画「タワーリング・インフェルノ」にインスパイアされた話であり、映画を観ているような感覚になってしまいます。
ここがポイント
まさかの消火方法には驚きますが、伏線がうまく張られていて無理がなく、最後まで緊張感が途切れず、楽しめます。
読んで良かったと思える感動作品です。
11、《リバース》
あの「リカ」の生い立ちが、家政婦であった幸子の視点で描かれていて、語り口調形式で進んでいく話です。
ここがポイント
リカの家族は一見すれば幸せそうなのに、その奥底には計り知れない恐怖が蔓延していたことが分かります。
いかにして「リカ」という人間が形作られたのか、どういう少女時代を過ごしたのかが分かります。
シリーズの中では、ジワジワと怖さが滲み出てくるような作品です。
まとめ
多彩な作風の五十嵐貴久氏の作品のご紹介は、お楽しみ頂けましたでしょうか。
まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。
そして、存分に恐怖を味わってください。