読み応えのある、薬丸岳氏のおすすめの作品10選をご紹介させていただきます。
デビュー作の「天使のナイフ」で江戸川乱歩賞を受賞して以来、少年犯罪等の難解なテーマに取り組む傍らで、エンターテイメント性の高いミステリーも執筆し続けています。
また、無類の映画好きで当初は俳優を志していた時期もあったようで、その辺も多少創作活動に影響を及ぼしているのかもしれません。
この記事の目次
薬丸岳のおすすめ10選をご紹介~そのスリル感に驚愕~
スリルとドキドキ感を味わいたいなら迷わず薬丸氏の作品をおすすめします。
犯罪の周りでうごめく様々な人間に視点をあてて読者を虜にしてしまいます。
そんな薬丸氏の厳選したおすすめの10選をご紹介させていただきます。
1、『天使のナイフ』
生後5ヶ月の赤ん坊の前で妻が少年たちに殺される話です。
やがて、社会に復帰した少年たちが次々に殺害され、殺された妻の夫に疑いがかかります。
少年法という難解なテーマを扱いながらも実にバランスよく描かれています。
中盤から終盤にかけて明かされる過去の忌々しい事実、そして終盤に分かる真実が見ものです。
ミステリーの醍醐味が見事に凝縮された作品です。
2、『虚夢』
心神喪失の通り魔によって娘を殺された、夫婦にふりかかる数々の苦難の話です。
無罪となった犯人への怒りはどうすればいいのか、被害者は救われるのか。
真相が明らかになるに従い、考えさせられることが増えていく気がします。
読んでいて苦しくなるほどの感情描写の描き方には恐れ入ります。
3、『悪党』
老夫婦から人探しを依頼される元警察官の探偵の話です。
少年により殺された子供の無念はどうすればいいのか、親が敵討ちをすればいいのか。
犯罪被害者の視点で様々な調査を行っていく中、赦すとはどういうことか分かります。
復讐しても何も生まれません。
4、『刑事のまなざし』
通り魔により娘を植物人間状態にされた刑事が挑む7編からなる連作短編集です。
法務技官をしていた主人公が娘の事件をきっかけに刑事に転身して、事件を追っていく様はまるで何かに憑りつかれたようにみえてしまいます。
被害者の悲しみに寄り添える主人公の姿に感動さえ覚えてしまい、真摯に向き合う人間の姿というものは実に素晴らしいと思ってしまいます。
5、『ハードラック』
職もなくどん底まで落ちた25歳の主人公が闇サイトで募った人間に、殺人事件の犯人に仕立て上げられる話です。
ストーリーはハラハラ、イライラしながの展開ですが、あきることなく読み進んでいけます。
二転三転して、いきなりの結末に驚きを隠せません。
6、『死命』
余命わずかの男が自分の欲望に任せて、連続殺人を犯してしまう話です。
ハラハラ感もあり、感動もありでかなり読みごたえがあります。
余命わずかの2人の男の対照的な生き方に考えさせられる部分がたくさん出てきます。
タイトルにマッチした作品で読み応えがあります。
7、『Aではない君と』
別れた妻と一緒に暮らす息子が人を殺してしまったという話です。
主人公である夫の視点でストーリーは展開していき、重いテーマでありながら現実とどう向き合っていくのかを問われているように思います。
生命の重さをずっしりと感じる作品です。
8、『友罪』
職場の同僚が過去のあの忌まわしい事件の犯人だったのか、そんな疑念を突き止めるべく動く主人公の話です。
親は自分の子供がいくつになろうが何をしようが絶対にあきらめてはいけないのです。
少年犯罪も絡んできて、大変重い内容ですが、贖罪にまっすぐ取り組んだ、読み応えのある作品です。
9、『その鏡は嘘をつく』
自殺と思われたエリート医師は実は他殺であり、その事実確認のため検事と刑事が真実に迫る話です。
絡み合っていく2つの事件と秘められた謎は果たして解決できるのだろうか。
ストーリーは二転三転して大変面白く飽きることはありません。
主人公の温かいまなざしに震えるラストが印象的です。
10、『神の子』上・下
天才的な頭脳と絶望的な孤独感を抱えた主人公の少年を描いた話です。
戸籍を持たないその少年は殺人事件の容疑者として少年院に入りそこでの出会いが彼を変えていきます。
町田博史と名付けられたその少年は段々と人間として成長していくのです。
少年の未来に期待が持てるラストになっています。
まとめ
いつの時代もなくならない少年犯罪。
そんな少年犯罪も含んだ作品を薬丸氏独自の視点から描いたものを10選ご紹介させていただきました。
まだ読んでいない作品がありましたら是非この機会に読んでみてください。
きっと薬丸氏の魅力にはまってしまいます。