ミステリ界の超新星、結城真一郎氏が放つおすすめの作品5選を、ご紹介させていただきます。
大学卒業後、会社員として働きながら、2018年に「名もなき星の哀歌」(応募時タイトルは「スターダスト・ナイト」という作品で、第5回新潮ミステリー大賞を受賞し、作家デビューを果します。
2021年には短編小説「#拡散希望」という作品で、平成生まれの作家として、初めて、日本推理作家協会賞を受賞します。
結城真一郎おすすめ5選をご紹介~新しいミステリの可能性を開拓~
大学在学中に、同じ学部の同級生だった、辻堂ゆめ氏が「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、作家デビューをしたことに刺激を受け、結城氏も在学中に作品を書いて投稿したのですが、箸にも棒にも掛からなかったようです。
自分の作品を読めば、必ず張り巡らされた伏線が一気に回収されて、スカットするという事だけは、外さないように、強みにして執筆していきたいそうです。
そんな結城真一郎氏のおすすめの作品5選を、ご紹介させていただきますので、どうぞお楽しみ下さい。
1、『#真相をお話しします』
マッチングアプリ・YouTuber・リモート飲み会・パパ活・精子提供などにフォーカスし、現代日本の世相を取り込んだ5編からなる短編集です。
騙される快感がクセになりそうな、新感覚が味わえて、純粋なミステリというよりは、驚きの結末を楽しむ話が詰まった宝石箱のように思います。
ここがポイント
人間の無邪気さと身勝手な一面がリアルに表現されていて、その上、読む者をも欺く真相のさらにもう一つ上の真相が用意されているのです。
人間関係、時系列など、一見すると読む者には分からない形の歪みや仕掛けがあり、それが話の終盤に繋がっている作品です。
2、『名もなき星の哀歌』
人の記憶を売買できるという店で働く二人の若者が、星名というシンガーソングライターを追いかけていく中で、各自が持つ知られざる真相を明らかにしていく話です。
記憶の売買と、他人の記憶を追体験することで、真実が見えてくるという設定が面白く、タイトルから受ける印象の通り、筋書きは随分とロマンチックになっています。
話題のシンガーソングライター星名を追うことで、彼女の過去に関する、医者一家焼死事件との関りと、彼女の為に命を絶った男の存在が分かります。
ここがポイント
命を絶った男は記憶を全て売った男であり、その男を追うことで、思わぬ結末に繋がっていくのです。
いくつもの伏線や要素が絡み合い、どこか遠いところへ連れていかれるような感覚に陥ってしまう作品です。
3、『プロジェクト・インソムニア』
新興企業による極秘人体実験に選ばれた、年齢・性別・属性の異なる7人が、90日間、夢の世界で毎晩生活を共にする話です。
夢の中では人は殺せないはずなのに、そんな不可能状態で殺人は起きてしまうのです。
果たしてこれは夢か?現実か?はたまたSF特殊設定ミステリーなのか。
ここがポイント
夢と現実を行き来しながら、犯人を捜す過程もなかなか読ませるものがあり、目が離せません。
複雑な設定なのにリーダビリティはすこぶる高く、犯人に関する怪しい伏線は、かなり分かり易くなっていて、特に動機面等の様々な伏線が、次々とキレイに回収されていく様はスカットします。
特殊設定ものとしては、とても良く練り上げられた展開で、最後まで飽きることなく、読める作品です。
4、『救国ゲーム』
死にかけの限界集落を再生させた、カリスマの零士が殺され、最悪の結末を阻止するため、集落の住人である陽菜子は死神の異名を持つエリート官僚の雨宮と、日本の存亡をかけた不可能犯罪の謎に挑む話です。
限られた資源を見返りのない地方再生に取り組むことに、意義はあるのかというネット上の扇動者(パトリシア)との対決が始まるのです。
ここがポイント
首切断殺人に動画サイトやドローン等、現代的なツールを取り入れた展開で、話が進み、これぞ令和の本格ミステリーなのです。
かなり早い段階で、犯人が仄めかされるのですが、そこからのアリバイ崩しや最後のホワイダニットまで一気に読ませてくれます。
限界集落や、地方創生等の現実問題が、押しつけがましくなく、上手く融合された作品です。
5、『本格王2020』
本格ミステリ作家クラブが厳選したアンソロジーになります。
ベテランの作家先生から新進気鋭の若手作家先生が描いた7編の作品が収録されています。
ここがポイント
流石に、厳選された作品だけあって、どれも面白くて、いろんなテイストが堪能できます。
粒ぞろいの力作が並ぶ、アンソロジーにまちがいありません。
まとめ
ミステリ界の超新星、結城真一郎氏の作品のご紹介は、お楽しみ頂けましたでしょうか。
まだ読んでいない作品がありましたら、この機会に是非読んでみて下さい。