耽美的な世界が堪能できる、服部まゆみ氏のおすすめ作品8選をご紹介させていただきます。
現代思潮社美学校卒業後、銅版画家として、「花の景色 作品35」で第10回日仏現代美術展において、ビブリオティック・デ・サール章の3席を受賞しています。
その辺の背景を題材として、1987年に「時のアラベスク」という作品で、第7回横溝正史ミステリー大賞を受賞し、作家デビューを果たします。
服部まゆみおすすめ作品8選をご紹介~耽美的な世界を堪能~
その後、澁澤龍彦世界(ドラコニア)に影響を受け、作品の中に澁澤龍彦をモデルとした登場人物も描いています。
1998年「この闇と光」という作品が直木賞候補にあがり、その後も執筆活動を続けていましたが、2007年に肺癌の為、58歳の人生に幕を閉じます。
そんな服部まゆみ氏のおすすめの作品を8選ご紹介いたしますのでどうぞ堪能してください。
1、『時のアラベスク』
澤井慶という作家の作品を映画化することになったのですが、関係者が次々に事件に巻き込まれていく話です。
舞台はロンドン、ブリュージュ、パリを経て再び東京の冬へ、慶の友人の根岸が事件の謎に挑んでいきます。
ここがポイント
殺人事件が起きたというのに、危機感のなさすぎる人々の対応、探られたくない腹を抱えていたからこそ、警察の介入を忌避した慶の姿があったのです。
終盤、根岸が気付いた真実により、謎が解き明かされていく、最後の展開には胸が熱くなってしまいます。
2、『罪深き緑の夏』
蔦屋敷に住む美しい兄妹と、そこに訪れた将来画家となる兄弟の幻影に彩られた美しく残酷な夏の話です。
登場人物の鮮やかさや、紡がれる世界の揺らめくような魅力に、心が奪われてしまいそうになります。
ミステリーとして読むよりは、この耽美な雰囲気に浸って読んでいるような感覚に陥ってしまします。
ここがポイント
欲望渦巻く耽美な世界観に、魅了されてしまう作品です。
3、『時のかたち』
移ろいゆく時を画家の感性で描いた、4編からなる珠玉の短編集です。
4編全てがミステリーを堪能するというよりも、耽美的な世界を堪能するといった方が適切かもしれません。
他の作家の作品では味わうことのできない雰囲気があり、幻想的な感覚を醸しだしているからなのでしょうか。
ここがポイント
懐かしくも、温かい雰囲気に溢れた作品です。
4、『一八八八 切り裂きジャック』
世紀末のロンドンを舞台に、日本人青年二人が「切り裂きジャック」の謎に挑む話です。
ビクトリア朝のイギリスの様子もかなり詳しく描かれていて、この作品がまるで現実に起こったかのような錯覚に陥ってしまいます。
ここがポイント
また登場人物も皆魅力的で、森鴎外、北里柴三郎などの実在した人物も登場し、史実と創作が融和していて楽しめます。
ラストに待ち構えている謎解きの為の罠や、エピローグの主人公二人の掛け合いも印象に残る作品です。
5、『ハムレット狂詩曲』
「ハムレット」の演出依頼をされたケン・ベニングという男性が過去に怨みのある役者の、片桐清右衛門という人物を稽古中に殺そうと画策する話です。
ここがポイント
「ハムレット」の稽古が主軸となっているため、小説と演劇の両方が満喫出来て楽しめます。
ゴシックとか耽美的な作風が印象的な服部氏ですが、本作品では違った一面を見せてくれます。
ハムレットをじっくり読み返してみたくなる作品です。
6、『この闇と光』
失脚した王である父と、別荘の2階に幽閉されて過ごす盲目の王女、レイアの話です。
意地悪な侍女ダフネに怯えながらも、親子で過ごす濃密な日々。
不穏な空気に満ちた王女の日々が、父の優しい声やクラシック音楽の優雅な調べとは裏腹に、徐々に張りつめていく緊迫感すら心地よく感じてしまいます。
ここがポイント
完璧だったはずの世界が、音を立てて崩れ去ってしまうような作品です。
7、『シメール』
友人の息子を好きになってしまった男性の話です。
クリスマスイブに火事で祖母と双子の兄弟を亡くした少年の視点と、大学教授との二つの視点で作品は描かれています。
ここがポイント
作品の耽美と廃退感が何とも言えないくらい、美しくて引き込まれてしまいます。
幻想的で魅力的な作品です。
8、『レオナルドのユダ』
ここがポイント
あのレオナルド・ダ・ヴィンチの生涯を描く歴史ミステリーです。
「モナ・リザ」であまりにも有名なレオナルド・ダ・ヴィンチ。
絵画だけではなく、数学や天文学、医学等幅広い知識を極め続けた偉人でした。
ダ・ヴィンチに魅せられた3人の視点で紡がれるダ・ヴィンチの物語、ダ・ヴィンチの魅力を存分に味わえる作品です。
まとめ
今は亡き服部まゆみ氏のおすすめの作品のご紹介をさせていただきました。
まだ読んだことがない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。
読書の楽しみが広がりますよ。