心地良い読後感に浸れる、小川糸氏のおすすめ作品12選をご紹介させていただきます。
大学卒業後、マーケティング会社に勤め、商品開発に携わるも、本の世界を忘れられず、数ケ月で退社してしまいます。
その後、編集プロダクションに転職をし、情報誌のライターとして仕事を始めますが、その情報誌も休刊となり、リストラに遭ってしまうのです。
小川糸おすすめ作品12選をご紹介~心温まる日常を描写する~
その後、どうしても、「物語を書く人になりたい」という気持ちが強まり、創作活動を開始します。
しかし、結婚を機に創作活動のほかに音楽制作ユニット「Fairlife」を結成し、春嵐の名で作詞を担当し作詞家としての活動も開始したので、なかなか好きな創作活動に専念することができない状態が続いていました。
作家としての活動はしばらく途絶えていたのですが、これがだめだったら諦めようと思って執筆した「食堂かたつむり」という作品が2008年1月に出版され、瞬く間に人気を博していくこととなります。
そんな小川糸氏のおすすめの作品12選をご紹介させていただきますので、お楽しみください。
1、『食堂かたつむり』
同棲していたインド人の恋人に全てを持ち去られ、その衝撃から声を失い、実家で開業した食堂を通して、成長していく女性の話です。
その食堂は一日一組限定であり、そのお客様の為だけの特別メニューを提供していく店なのです。
ここがポイント
料理に対する、主人公の気持ちなどが合わさって、究極の料理が完成するさまは、美味しそうで、食や命の大切さも伝わってきます。
食事するときに、感謝の気持ちが沸いてくる作品です。
2、『喋々喃々』
谷中でアンティーク着物店を営む栞が、客として来店した春一郎と出会う話です。
移ろいでゆく季節の中で、紡いでいく、様々な愛を、折々の景色や美味しいものと一緒に見せてくれます。
ここがポイント
日頃、忘れられているような細やかな気遣いや、おもてなしの心が優しくなれるように心に響いてきます。
時間の流れが緩やかに感じる作品です。
3、『つるかめ助産院』
夫が失踪し、手がかりを求めて、一人訪れた南の島で妊娠が発覚してしまう、まりあの話です。
偶然通りかかった助産院で、妊娠していることが判明し、スタッフや地域の人々、島の大自然に支えられながら、命を育み母となっていきます。
男性には到底、味わうことができない自然と繋がる瞬間が感動的です。
ここがポイント
食事の描写もとても美味しそうであり、美しい島の魅力も伝わってくる作品です。
4、『あつあつを召し上がれ』
美味しそうな食べ物とともに綴られる、7編からなる短編集です。
かけがえのない、日常の思い出の味がテーマであり、親との別れ、恋人との別れの時などに思い出す味の数々。
ここがポイント
ダイレクトに味を表現しているのではなく、食べている表情や心情の変化によって表現されているので、物語の中にスンナリと入り込むことができます。
食べ物と人のつながりや、思いが分かる作品です。
4、『リボン』
リボンという名のオカメインコとかかわる人々の話が、綴られた連作短編集です。
すみれちゃんとひばりさんが、孵化させた一羽のオカメインコのリボンが、人々の人生にそっと寄り添い、心を癒し、傍にいるだけで安心を与える存在なっていきます。
ここがポイント
その、リボンの存在こそが、生きていく力や、小さな幸せをもたらしてくれるのです。
優しい気持ちにしてくれる作品です。
5、『にじいろガーデン』
主婦の泉が、自殺しようとしていた女子高生の千代子と出会い、恋人となり、泉の息子の草介と3人で、山里で暮らし始める話です。
やがて千代子は泉と出会う前に関係を持った、男性の子供を出産し、家族4人の生活が始まっていきます。
ここがポイント
子供たちが二人いる同性婚家族の強い絆と、深い思いやりの愛情に満ちた心に胸が熱くなってしまいます。
切ないラストに、考えさせられてしまう作品です。
6、『サーカスの夜に』
かって、両親と一緒に見たサーカスに魅せられた少年が、サーカスの綱渡り師を目指す話です。
病気のため10歳の身体のまま、成長が止まってしまった少年ですが、サーカス団の一員になる決意は固く、実現に向けて頑張っていきます。
そして、優しい個性的なサーカス団のみんなに囲まれて、困難にも負けず少年は成長していきます。
ここがポイント
美味しい食べ物の描写もたくさん出てくる、人間ドラマ作品です。
7、『ツバキ文具店』
鎌倉を舞台に、繰り広げられていく、代筆業を行う文具店の話です。
鎌倉で文具店を営む主人公(鳩子:ポッポちゃん)は、代々家業として、手紙などを本人の代わりに書く、「代筆」を生業としています。
ここがポイント
様々なお客から頼まれた手紙の代筆を筆記用具や紙など、それにふさわしいものを選ぶ描写も事細かに綴られていて、臨場感がタップリに描かれています。
いつも通りの美味しそうな食べ物の描写にも、食欲がそそられる作品です。
8、『キラキラ共和国』
「ツバキ文具店」の続編であり、ポッポちゃんはミツローさんと結婚をして、QPちゃんも交えて家族になる話です。
ここがポイント
前作同様に鎌倉の四季と、美味しそうな調理をアクセントにして、ポッポちゃんの日常が綴られています。
難題の代筆依頼が舞いこむこともありますが、依頼者、一人ひとりの気持ちに丁寧に寄り添い、代筆する手紙は優しく素敵なものばかりです。
心地良い読後感に浸れる作品です。
9、『ミ・ト・ン』
ミトンを編むマリカという女性の一生を優しく、丁寧に描いた話です。
伝統ある小さな北国で時代の波に翻弄されながらも、日々を丁寧に明るく生きた、女性、マリカ。
防寒具としてだけではなく、様々な使用用途を持つミトンを通じて、マリカと大切な人たちとの絆が丁寧に描かれています。
ここがポイント
慎ましくも、満ち足りた生き方がわかる作品です。
10、『針と糸』
小川糸氏のベルリンでの生活、最愛の国ラトビアのこと、愛犬のこと、そして母のことを綴ったエッセイ集です。
ベルリンの過ごしやすさや、日本人とドイツ人の考え方の違い等、旅行雑誌では分からないことが描かれています。
また、家族のこと、特に母親との確執など、深刻な内容のものもあり、心にずっしりと響いてきます。
ここがポイント
小川糸氏の内面が垣間見えるエッセイ作品です。
11、『洋食小川』
小川糸氏が日々の生活の中で、大切にしたいことが描かれている、日記のようなエッセイです。
ここがポイント
自分自身を見失わずに、柔らかく自然と生活し、調和し、生きている姿が素敵に描かれています。
食べ物の描写についても、季節の物や人様から頂いたものの素材を生かしながら、調理している様に、憧れてしまいます。
心地良く暮らせるヒントが貰える作品です。
まとめ
小川糸氏の作品のご紹介は、お楽しみいただけましたでしょうか。
食べ物の描写がかなりあり、食通のあなたには満足していただけたと思います。
まだ、読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみてください。
読書の楽しさが広がりますよ。