乾くるみ氏の厳選したおすすめ作品10選をご紹介させていただきます。
乾氏は密室殺人ものから恋愛小説、短編集に至るまで幅広いジャンルを描いています。
その創作活動は緻密すぎる程、緻密であり、最後まで計算されつくしたドラマは、感動さえ覚えてしまいます。
それゆえロングヒットとなった「イニシエーション・ラブ」は映画化もされて、あまりにも有名な作品です。
【乾くるみ】おすすめ本10選をご紹介~なんとなくイヤミス~
乾氏は小学生の頃からミステリー好きであり、高校生の頃には日本の作品はおろか、海外の作品も読み漁っていたようです。
ちょうどその頃、執筆活動も始めて、大学在学中に江戸川乱歩賞に応募するのですが、一次選考にも残らなかったようです。
それでも執筆活動は続け、ついに34歳の時、「Jの神話」で第4回メフィスト賞を獲得して作家デビューを果たします。
その後次々に話題作を発表して作家として高く評価されていきます。
ちなみに乾くるみというペンネームからは女性のように思われがちですが、見るからに優しそうな男性です。
そんな乾くるみ氏のおすすめの作品10選をご紹介させていただきますので、お楽しみ下さい。
1、『Jの神話』
名門女子高を襲う怪事件の謎に挑む女探偵「黒猫」と新入生、優子の話です。
ストーリーはおどろおどろしいオカルトのような話から始まり、不可解な謎が次々に現れてきます。
ここがポイント
そして事件が解決に向かった途端に、サイエンス・フィクションなのか、ホラーなのかと思ってしまい頭が混乱してしまいます。
ラストに向けての伏線はしっかり張られていて、読み応えがあります。
乾氏のデビュー作であり、メフィスト賞受賞作品になります。
2、『匣の中』
ここがポイント
竹本健治氏の「匣の中の失楽」のオマージュ作品であり、暗号と暗号の羅列はまさに奇書と呼べます。
次々に起こる密室殺人があったりと、ミステリー要素が満載なので、飽きることはありませんが、頭の中が混乱してしまうほど複雑極まりない展開になっています。
脳の運動には良書だと思いますが、かなり混乱を誘う作品です。
3、『マリオネット症候群』
他人に身体を乗っ取られた少女が、その謎を事件を通して解明していく話です。
ここがポイント
何ともシニカルでブラックな笑いも含みながら、ストーリーは展開していきます。
主人公の性格が結構コミカルに描かれているので、面白おかしく楽しむことができます。。
ブラックユーモアたっぷりで、楽しめる作品です。
4、『イニシエーション・ラブ』
バブルにわく、1980年代後半の世相や流行を背景にした、冴えない大学生の青春の1ページの恋愛を描いた話です。
淡い恋心から始まる、イニシエーション・ラブの意味を思い描きながら、読んでいくとなるほどと、納得してしまいます。
映画化もされていて「必ず二回読みたくなる」と評判の作品です。
ここがポイント
しかし終盤には、全く違った物語に変貌してしまうのです。
読後感が少し怖くなってしまいます。
5、『リピート』
現在の記憶を持ったまま、10人の男女が10ヶ月前の自分に戻り、次々に不可解な死を遂げていく話です。
リピートして人生をやり直したところで、幸せになれるかどうかは、全く別ものであり、分からないことが分かります。
ここがポイント
運命は絶対に、変えることができないのです。
6、『クラリネット症候群』
養父愛用のクラリネットを壊されてしまった直後から、「ドレミ・・・」の音のみが聞こえなくなってしまった、少年が怪事件に巻き込まれる話です。
さらにその養父が意味不明な文章を残し、失踪してしまうのです。
暗号解読に視点が置かれていて、ストーリーは展開していきます。
内容は大変ダークなのですが、コミカルに描かれているので、暗くならずに読むことができます。
ここがポイント
推測して読むと何故か奇妙な感覚に陥ってしまうのですが、何とも言えず面白い作品です。
7、『カラット探偵事務所の事件簿1』
6編からなる連作短編集であり、謎解き専門の探偵事務所の話です。
ミステリーにはよくある、ありきたりなストーリー設定なのですが、何故か引き込まれてしまうのです。
ここがポイント
読者の推理をうまく裏切るテクニックが駆使されているので、かなり楽しむことが出来ます。
最後にしてやられてしまう感覚に、スカットしてしまう作品です。
8、『スリープ』
中学3年でありながら、テレビ番組の人気レポーターである女の子が、取材先の研究所で姿が消えてしまう話です。
ここがポイント
30年後という近未来に視点をあてた、SFミステリーのような形で、ストーリーは展開していきます。
随所に不穏な雰囲気が漂っていて行く中、現実と夢との区別がつかなくなってしまいそうになります。
行き過ぎた科学を考えさせられる作品です。
9、『セカンド・ラブ』
主人公の里谷正明が、スキー旅行で出会った女性、内田春香と恋に落ちる話です。
ここがポイント
推理やミステリーが中心に物語は進んでいくのですが、途中からホラー要素も加わることにより、ストーリーは思わぬ方向へと展開していきます。
一見は軽やかで、爽やかに思える内容ですが、人間の奥深い感情が絡まりあっていることが分かり、正直怖くなってしまいます。
読み終えた後、ゾクッとしてしまう作品です。
10、『セブン』
数字の7にまつわる、7編からなる短編集です。
突如、女子高生たちが7つのデスゲームに巻き込まてしまい、生死をかけて心理戦を戦っていくことになります。
ここがポイント
どの作品も短編とは思えないくらい読み応えがあり、緻密に練り上げられた構成なので楽しむことができます。
スキマ時間に読むには、最高の短編集です。
まとめ
コミカルな内容に思えて実はなんとなく、イヤミスっぽさが残る乾氏の作品をお楽しみいただけましたでしょうか。
どこからそんな発想になるのかが、不思議に思ってしまいます。
まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみて下さい。
読書の楽しみが広がりますよ。