最近人気のある、塩田武士氏のおすすめ作品10選をご紹介させていただきます。
大学在学中の19歳の時に藤原伊織氏の「テロリストのパラソル」に魅了されて、作家を志し創作活動を開始したのですが、なかなか芽がませんでした。
それでも作家になる夢は捨てきれずに就職しても、創作活動は続けて、ついに「盤上のアルファ」という作品で念願の作家デビューを果たすこととなります。
塩田武士の文庫本おすすめ作品10選をご紹介!
塩田武士氏の代表作といえば、山田風太郎賞を受賞した「罪の声」が挙げられます。
その他にもすばらしい作品がありますので最新刊も交えた、おすすめの作品10選をご紹介させていただきます。
1、盤上のアルファ
将棋界に旋風を巻き起こす2人の男の友情物語です。
一人は新聞社の将棋担当記者、もう一人はプロ棋士を目指す男。
筆者は実際に将棋担当記者をしていた経験があるので、将棋界のからくりも分かりやすく描かれています。
同居する二人の生活は関西弁なので、ユーモアも交えながらの会話はとてもおもしろく、デビュー作とは思えないほどに楽しむことができます。
ここがポイント
感動する場面も多々あって、男の世界を満喫でき、将棋をしたい気持ちに駆られてしまう作品です。
2、女神のタクト
アラサーにして仕事も恋人も失った女性が一発奮起して、弱小オーケーストラを立て直していく過程を描いた話です。
少々手荒いやり方と関西弁のまくしは、まさに女々しさのカケラもないように思えてしまいます。
ここがポイント
しかし、スピーディーな話の展開と個性ある登場人物の濃い描写により、彼女の才能をより、引き立てています。
最後に見せる繊細さに、ホロッとくる作品です。
3、ともにがんばりましょう
地方新聞社、入社6年目のあがり症の主人公が突如、会社の労働組合の執行委員に抜擢される話です。
会社と労働者の大きな問題を抱えていた最中、周りの人に助けられながら、目立たなかった彼が、どんどん成長していくのです。
会社との労使交渉の場面では臨場感に溢れ、思わず興奮してしまいます。
ここがポイント
会話は関西弁なので、幾分ユーモアチックになりますが、それがまた一層、話の展開にインパクトを与えています。
労働組合の活動が理解できる、感動の作品です。
4、崩壊
ある雨の夜、殺害された市議会議長の捜査に二人の刑事が挑んでいき、その容疑者に意外な人物が浮かびあがる話です。
捜査を進めていくうちに、様々な人間模様が交錯していき、いろいろな事が、明るみになってきます。
ここがポイント
バブル期にその波に飲みこまれた家族に降りかかる問題がメインであり、その犠牲になった子供たちの気持ちは、いかばかりかと悲しくなってしまいます。
家族の崩壊は、こんなにもあっけないものなのかと思ってしまいます。
5、盤上に散る
亡くなった母の遺品の中から、見つかった出されなかった手紙から始まる話です。
その宛名はどうやら棋士らしい、母とどんな関係があったのでしょうか。
その手紙を相手に届けるために、娘の明日香が奔走していきます。
探す相手は、どうやら伝説の真剣師らしいことまで判明します。
ここがポイント
様々な人間関係が交錯する中、男の世界の見せ場に緊張してしまいます。
相変わらずのベタな関西弁が飛び交いますが、何故か心がほっこりしてしまう作品です。
※真剣師:賭け将棋などで生計を立てている者のことです。
6、雪の香り
12年前の大学時代、最愛の人だった彼女がある事件の重要容疑者になってしまう話です。
しかもその彼女が今、またしても自分のそばにいる状況なのです。
現在と過去の話が交互に展開され、主人公と彼女のやり取りも関西弁でユーモアもあり、飽きることがありません。
ここがポイント
人を好きになってしまうと、本当に盲目になってしまうことが分かります。
純愛ミステリーと銘打ってますが、純情ラブストーリーの方がしっくりくる作品です。
7、氷の仮面
女子の服装への憧れを持った、少年が抱く、こころの葛藤の話です。
そして同性の男子への恋心を抱きながら、少年は成長していくのです。
現在でも偏見の目で見られる性同一性障害をかかえた主人公が、周りの人の理解と、暖かい心で力強く生きていく様を描いています。
ここがポイント
その人にとっての本当の幸せとは何なんだろうと、考えてしまい、泣けてしまう作品です。
8、拳に聞け!
ボクシングジムに立ち退きを願っている女性の手伝いをして、一儲けを企む便利屋で働く男の話です。
しかし、そのボクシングジムの内情をを探るうちに自分が、次第にボクシングに魅了されていくのです。
ここがポイント
厳しいボクシングの世界がリアルに描かれてますが、中休みでお笑いもあり、程よく楽しむことができます。
確かに人間クササが随所に施されていて、心も和み、勇気も、もらえる作品です。
9、罪の声
戦後最大級の未解決事件である、「グリコ森永事件」をモチーフに書かれた話です。
ここがポイント
事件に関わっているのは、幼い頃の自分ではないかと懸念を抱きながらも、真相を確かめずにはいられない主人公の姿があるのです。
そのリアル感が半端なく伝わってきます。
本当の被害者は誰なのか、小銭を握りしめて駄菓子屋でお菓子を買うことも怖くてできない。
子供が一番の被害者ではなかったのだろうかと思います。
週刊文春ミステリーベスト10の2016年[国内部門]第1位作品です。
10、騙し絵の牙
まさしくミステリー業界に一石を投じる作品です。
出版社でやり手の雑誌編集長を務める男が、上司からその雑誌の廃刊を匂わされます。
しかしそんなことでは引き下がらない編集長、相手に隙を与えないほどの応酬をしていきます。
ここがポイント
出版業界の現状もリアルに描かれていて、エンターテインメント性タップリの作品であることは間違いないです。
ネタバレになるのであまり詳しいことは書けませんが、こんなタイアップ作品は今まで読んだことがありません。
とにかく読んで頂ければ納得できる、面白い作品に間違いありません。
まとめ
塩田武士氏の作品のご紹介は、お楽しみ頂けましたでしょうか。
まだ読んでいない作品がありましたら、この機会に是非読んでみて下さい。
読書の楽しみが広がりますよ。