幅広い年代から支持されている、住野よる氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきます。
子供の頃から、本好きであったようで、学校に入っても、図書室に通うのが習慣になっていたそうです。
中学3年の頃には、好きな本を読んでいるだけでは、物足りなくなり、小説も書いていたとのことです。
住野よるおすすめ作品8選をご紹介~心地良い文体で描写~
有川浩氏や乙一氏、西尾維新氏の作品も良く読んでいたそうで、大学生の頃にはプロの作家を目指していたそうです。
元々ライトノベルテイストの作品で、文学賞に応募していたのですが、なかなかいい結果に結びつきませんでした。
2014年に夜野やすみ名義で小説投稿サイト「小説家になろう」に「君の膵臓をたべたい」という作品を投稿したことが切っ掛けで、一躍脚光を浴びて、小説家デビューを果します。
そんな住野よる氏のおすすめの作品8選をご紹介させていただきますので、お楽しみください。
1、『君の膵臓をたべたい』
高校生の僕が偶然にも病院で拾った一冊の文庫本、それはクラスメイトの山内桜良が綴った秘密の日記帳「共病文庫」だったところから話は始まります。
その日記帳には、彼女は膵臓の病気が原因で余命が一年もないと書かれていたのです。
そして彼女にとって僕はただのクラスメイトから、秘密を知るクラスメイトとなり、食事をしたり、色々な所へ出かけたり、様々なことを話していくうちに、自分と正反対の性格をしている彼女に、徐々に惹かれていくのです。
ここがポイント
桜良は病気だけれども、彼女に残された時間は「余命」ではなく、他の人たちと平等な時間であることだったのです。
だからこそ、日常を大切にしている彼女がいたのです。
まさしく、魂が揺さぶられる作品です。
2、『また、同じ夢を見ていた』
ちょっとおませな小学生の女の子である、小柳奈ノ花が ”幸せとは何か″ を探していく話です。
学校に友達がいない奈ノ花は、近所にいる、リストカットをする学生、アバズレと罵られる女性、一人で暮らすおばあさん等、少し変わった友達を作っていくのです。
とても独立心が強く、みんなのようにはなれない正直な少女が、新しい友達からアドバイスをもらいながら、学校にも居場所を作っていくのです。
ここがポイント
同調圧力が強く、馴染めない学校でいじめられることもありますが、目立たないようにするために、自分のいいところを変える必要なんで全くいらないのです。
無理して、そのコミュニティで、友達を作る必要などなく、居場所はそこだけではないことが分かります。
前を向いて生きる勇気が貰える作品です。
3、『よるのばけもの』
夜になると化け物になってしまう主人公である中学3年の安達と、クラスメイトで、いじめられっ子の少女である矢野さんの話です。
宿題を学校に忘れた安達は、夜の学校へ忍び込んだところ、クラスでいじめられている矢野さんと出会ってしまうのです。
そして「夜休み」を過ごしているという彼女との、夜限定の交流が始まるのです。
矢野さんのいじめに加担する昼の俺と、矢野さんの夜休みを守ろうとする夜の僕がいるのです。
どちらが本当の自分なのか、皆と方向がズレないように、選択を間違えないように、箱庭の中のような狭い世界での学校生活なのです。
周りからずれないように、気を使いながら行動する安達、でもクラス内にはいじめがあり、いじめがあることで、団結しているような妙な均衡が保たれているのです。
ここがポイント
イジメる人、イジメられる人、そして傍観者、心の中が抉られるような作品です。
4、『か「」く「」し「」ご「」と』
5人の高校生がそれぞれに抱える、秘密と見知っているようで分からないそれぞれの想いを、5人の視点で描いている話です。
それぞれ性格は違いますが、仲の良い彼等彼女等が、恋愛や進路や自分の立ち位置に悩み成長していく姿が、文化祭や修学旅行、普段の一日を舞台に、語り手が変わりながら描かれています。
5人にはそれぞれ、人の感情や恋心が、数字や記号や矢印で見える能力が備わっているのです。
結局みんなそれぞれが、目に見えないかくしごとを持っていて、人間関係それぐらいが、丁度いいと思ってしまいます。
それでも人は人を分かりたいし、好きな人の助けになりたいと願うし、見えていたとしてもすれ違ってしまうのです。
ここがポイント
自分本位かもしれませんが、他と関わりを持たんとする彼らの眩しさが、羨ましく感じてしまう作品です。
5、『青くて痛くて脆い』
根暗で人間関係の形成が下手なボッチの主人公の楓と、空気読めない意識高い系の女子の秋好の大学生活を描いた話です。
出会った2人は、理想を求め、なりたい自分になるというテーマのもとに、「モアイ」というサークルを作るのです。
2人で創めたモアイは、段々と大きくなり、それと比例して秋好は段々と楓の手の届かないところへ行ってしまうのです。
ここがポイント
2人は、同じ未来の風景を見ていたのではなくて、実は全く違う未来を見ていたのです。
正反対の2人が作り上げたなりたい自分になるための、大学サークルの過去と現在の物語はすれ違いが誤解を生み、溝が広がっていく歯がゆさと、止まらない暴走の痛さと青さを脆く描いた作品です。
6、『麦本三歩の好きなもの』
麦本三歩という図書館員である、20代の女性の日常を描いた話です。
何ともユニークな女子の麦本三歩であり、こういう新人がいたら、イラっとするかもしれないけれども、読んでいくうちに、世知辛い世の中にはこういうタイプの人間も必要なのかと思えてしまいます。
12からなる日記のような短編の中には、それなりに心に響く教訓のようなものもあります。
ここがポイント
日常は変わらないかもしれないけれども、頑張ろうという気持ちにさせてくれます。
読んでいると、なんだかふわっと元気になり、一生懸命に生きている人たちみんなに読んでもらいたい作品です。
7、『行きたくない』
注目の若手作家6人の夢の競演による、6編からなる書き下ろしアンソロジーです。
「行きたくない」がテーマであり、会社に行きたくないという直球勝負だったり、SFという舞台装置を利用して描いていたり、切り口が多種多様になっています。
いろんな「行きたくない」があり、共感できるもの、考え深いものもあるのに、こんなに素敵な話が出来上がってしまうのです。
ここがポイント
行きたくない時に読めば、共感できますし、行きたくない気持ちに立ち向かいたい時に読めば、勇気づけられます。
短編ですが、それぞれの作家の特徴が味わえる、楽しめる作品です。
8、『この気持ちもいつか忘れる』
毎日がくだらなく特別な何かを求めていた男子高校生のカヤに、異世界との不思議な出会いが訪れる話です。
異世界と僅かに繋がっている秘密の場所で、高校生のカヤは異世界の少女チカと出会い、爪と目しか見えない姿の彼女に恋心を抱いてしまうのです。
そして徐々にお互いの親密さは増していくのですが、2人の間では恋とか愛の概念が異なっていて、唐突に別れが訪れてしまうのです。
15年後、人生が終わって死ぬのを待っているような生活を送っていたカヤに、かっての同級生の紗苗が気付かせてくれるのです。
ここがポイント
人生をどう生きるかを問う、心揺さぶる感動が味わえる作品です。
まとめ
住野よる氏の作品のご紹介は、お楽しみ頂けましたでしょうか。
思春期の若者の心を独自の感性で見事に描いていると思います。
まだ読んでいない作品がありましたら、是非この機会に読んでみて下さい。